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(2)ギルバートside
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しおりを挟むそして、最後の台詞。
『待っていろ。
例え世界中を敵に回しても……。
僕は絶対に、君を迎えに行くから……!』
台詞を言い終えて、観客が息を飲む絶妙なタイミングで……。
少年は静かに瞳を開くと、長い前髪から覗く切れ長の目を……。
流し目のようして、色っぽい視線を観客に向けた。
「!っ~~……?!」
不思議な色気。
その美しい瞳の中に宿る、強い光。
少年の、眼光に……貫かれる。
心を射抜かれたように、ゴクッと喉を鳴らして僕は震え上がった。
っ……。
……すごい。
すごい、すごい、すごい……!!
同じ台詞なのに……。
全く違う、表現に変わった。
感動を呼ぶこの場面が……。
愛で満ちた、希望に満ちた場面に変わった。
まるで観客全員がヒロインになったように、彼を信じて、待っていたいと……。
彼なら必ず迎えに来てくれる、と……。
夢を叶えてくれるような……。
魔法の言葉に、変わった。
ワアァァーーーッ……!!!!
と、湧き上がる歓声。
彼を取り囲む観客が熱い拍手を贈る。
特別な場所じゃない。
舞台上も照明もない場所。
なのに、僕には……。
少年が白金色に輝いているように見えた。
「っ……」
少年と話してみたくて、ゆっくりと足を踏み出そうとした時…。
「はいっ!そこまでよッ……!!」
女性の大きな声が聞こえて、ザワザワしていた辺りがシーンと静まり返る。
その声に、僕は思わずビクッとした。
聞いた事のある声。
そして、苦手な……声。
チラッと声を発した女性の方を見ると……。
白銀色の髪に、水色の瞳。
間違いなく、リディアさんだった。
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