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第12章 (3)ヴァロンside

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【数時間後】

「!っ……いっ、てぇ……」

風呂場でシャワーを浴びると、アカリに引っ掻かれた肩や背中の傷に滲みる。

結局あの後、合計三回戦までやってしまった。
さすがにアカリは深い眠りに入ってしまい、明日の朝まで起きないだろうな。
裸のままではマズいと思い、一応バスローブを着せて寝かせておいたが……。


「……はぁ~」

自分の行き過ぎた、抑えきれなかった性欲に呆れる。

これから明日の早朝に行う任務地に行かなくてはいけないのに、気を失うように意識を手放したアカリが心配で仕方ない。

レナとレイに、様子を見に来てもらうように頼むしかないな……。
抱き潰したなんて言えねぇから、具合が悪い事にしておこう。

俺はそう決めると、髪と身体を洗って風呂を出た。

……
…………。

着替えた俺は、髪を拭きながらキッチンに立つ。


「……なんか、懐かしいな」

自分が料理するなんて久々の事。
普段は時間がなくて触らないが、実は家事全般は一通り出来るし調理も嫌いじゃない。

家事全般も仕事に役立つ。
リディアの教えだ。

初めはよく怒られた。
味付けにうるさいリディアに、食事の度にぶつくさ言われて……。
”文句あるなら食うな!”って言い合ったな。

チビな俺の身長伸ばす為に、毎日宅配の搾りたての牛乳が家に届いて。
最低1日三本は飲まされたっけ……。


「……お陰で好き嫌いなくなったな」

俺は冷蔵庫から牛乳を取り出すと、コップに注ぎ飲みながら調理を続けた。

……
…………。
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