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第10章 (3)シュウside
3-4
しおりを挟むミライのこんな表情を、私は知らない。
いつも大人しくて、聞き分けがよくて。
妻に似て私を困らせたりしない、物静かな優しい子。
そんな息子が、こんなに活き活きとして元気な声を上げた。
産まれたばかりの赤ん坊が、初めてこの世に生を受けて産声を上げるように……。
ヴァロンとの出逢いに目標を見付けて、希望に満ちた表情と輝く瞳。
ミライは今日、間違いなく生まれ変わった。
「……いい面構えだな。気に入った。
だがな、一つ訂正だ。
”俺の様な夢の配達人”にはなるな。
……そんなん、目標が小せぇよ」
ヴァロンは意地悪そうに笑って、ミライの顎をグッと掴んで見つめる。
「ミライ、俺を超えていけ。
いつか俺を脅かして、白金バッジを奪え!
それぐらいの勢いがなきゃ、面白くねぇからな!」
子供相手にも手を抜かない。
何事も全力な、自信満々のヴァロン。
「はいっ!!
いつか必ず、貴方の手から白金バッジを奪ってみせますッ……!!」
いつかの私のように、気持ちは違えどミライもまたヴァロンに惹きつけられていく。
「……楽しみだ。
忘れんなよ、その言葉!」
ずっと変わらない、屈託のない態度。
気付いていないだけで、君はたくさんの人に愛されている。
老若男女問わずみんなみんな、君を好きになってしまうんですよ?ヴァロン。
「……まだまだ。
終わりそうにないですね」
ヴァロンとミライ。
二人を見つめて、私は思わずそう呟いた。
もう暫く……。
いや、きっと一生……私の恋は続くんだ。
何かある度にヴァロンに惹かれて、ドキドキして目が逸らせなくなる。
夢は、終わらない。
ヴァロンが在る限り、続いていくんですね。
……
…………。
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