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第10章 (2)シュウside
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しおりを挟む「……ばーか」
……でも。
ヴァロンは微笑んでくれた。
俯いていた私の顔をグイッと持ち上げて、瞳を真っ直ぐ合わせてくれた。
「お前とのその約束があったから……。
俺は今、ちゃんと生きてるんだよ」
そう言って……。沈んでいた私の心も、持ち上げてくれる。
「1番辛かった時、お前との約束が力になって……。
俺に幸せな今をくれたんだよ」
ヴァロンは少し身を屈めて、いつの間にか結い終わっていた私の髪の裾を持って……。そこに軽く口付けた。
「……ありがとう。
お前の1番欲しいものを、やれなくてごめん。
……でも、ずっと一緒だから。
白金バッジの夢は、お前と……。シュウと共に叶え続けると、誓う」
ヴァロンの強い誓いの言葉と、大好きな眼差しに……。胸が熱くなる。
「……俺にしか、出来ない事だろ?」
少し首を傾げて、意地悪そうに微笑むヴァロン。
私の大好きな、ヴァロン。
叶わなかった恋。
決して結ばれない相手。
けど。
大好きな君の大切な時に、力になれた。
幸せだと今、笑顔で生きてくれている。
愛する君が輝いてくれているなら、こんなに幸せな恋の終わりは……ない。
「っ……はい。ヴァロンにしか叶えられない、私の夢です!」
私は微笑むと、そのままヴァロンに抱き付いた。
「……大好きです。
私は、ヴァロンが大好きですっ……!」
「……馬鹿。知ってるよ」
ヴァロンはそっと抱き締め返して、私の頭を優しく撫でてくれた。
涙がなかなか止まらない私を、ずっと離さないでいてくれた。
昔、医務室で私が泣いた時と同じように……。
きっとあの時から、ヴァロンは気付いていたんだ。
”嫌い”と叫んだ、私の反対の気持ちに……。
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