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第8章 (2)アカリside
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しおりを挟む「……。
いつでも来い。待ってるから」
ヴァロンの大きな手が、ユイちゃんの頭に触れてポンポンッと撫でて……。
「……ユイ。ありがとな!」
ヴァロンが目を細めて微笑んだ瞬間……。ユイちゃんが涙を流しながら、とても可愛らしい笑顔で微笑った。
「っ……はいっ!
いつか、必ず……。また会いに行きますね!」
ユイちゃんは元気一杯にそう答えて……。くるっと背を向けるとヴァロンに貰った名刺を大事そうに両手で握り締めたまま……。走り去って行った。
ユイちゃんの背中が見えなくなるまで、じっと見つめるヴァロンの瞳はとても優しくて……。
ヴァロンには、彼女が何者なのか……分かっていたんだと思う。
ヴァロンとユイちゃんに、嫉妬する気持ちがこれっぽっちも起こらない私も……。口にはしないけど、悟っていた。
……
…………。
「……。ヴァロン」
私はヴァロンに声をかけて、もう一度リディアさんの手紙を差し出した。
彼はゆっくりそれを受け取ると、私を見つめた。
「……私とシュウさん向こうに行ってるから。一人でゆっくり、読んでいいよ」
私とシュウさんは顔を見合わせて頷くと、その場を離れようとした。
けど……。
「……待って。
一緒に、見てほしい。二人には、一緒に居てほしいんだけど……駄目?」
ヴァロンは私達を引き止めて、落ち着いた声でそう言った。
”一緒に居てほしい”……。
ヴァロンの言葉に私達は微笑みを返すと、その場に残って手紙を読んだ。
それは、間違いなく。
ずっと言葉にはされなかった、リディアさんからヴァロンへ宛てたラブレターだった。
……
…………。
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