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第7章 (5)ヴァロンside

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静かな室内。

「……。俺は、まだまだガキだったんだな。子供扱いされて、当然だった」

俺は左手を開いて、マスターに渡された物を見つめた。
掌の上で輝く金バッジが、以前よりも重たく……感じる。一度手放してしまった、自分の愚かさを後悔する。


「……シュウ。3日後もし……。
もし、俺が白金バッジ取得出来なかったら……」

顔を上げて、横にいるシュウを見つめた。

「……一緒に、死んでくれる?」

リディアの死を聞いて俯いていたシュウは、顔を上げると俺を見て……。涙を堪えて、微笑んだ。

「……はいっ。……いいですよ、ヴァロン!」

頷いてくれたシュウ。
俺は掌の金バッジをギュッと握り締めると……。その拳をシュウの前に掲げた。


「ばーか。
簡単に死なせる訳ねぇだろ?」

掲げた拳でシュウの頭をコンッと叩いて、笑って見せた。

「3日後。必ず白金に換えて持ってきてやるよ。
お前に1番に見せてやるからな……!」


口でそう宣言しながら……。本当は、今にも涙が溢れそうだった。

リディアがいない。
もう、何処にも……いない。

悲しみ、後悔、喪失感……。
色んな感情が湧き上がって、グチャグチャだ。

胸を引っ掻き回されたように痛くて……。強がらなきゃ、立ち止まってしまいそうだった。


ーーでも。
今にも、止まってしまいそうな呼吸を繋げてくれるのは……。

「ヴァロンなら、絶対に大丈夫ですよ!」

俺を信じてくれる、シュウ。
コイツの夢だけは、殺したくないと思った。

リディアが俺にくれた、親友。
あの日出会わせてくれた掛け替えのない存在。
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