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第7章 (5)ヴァロンside
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しおりを挟む病死ーー?
俺の頭に過る、別れる前のリディア。
下剋上を仕掛けたあの日。
彼女にはいつもの勢いがなかった。
何処か体調が悪いのかと、思った。
病気、だった?
あの時すでに、リディアは……。
『……真っ正面から受け止める。
それが私がアンタにしてやれる最後の事だと思ってるわ』
……さい、ご?
あの言葉は、”最期”の……意味。
『これを持っていきなさい、ヴァロン。
私の、負けよ……』
あの時差し出した白金バッジは、リディアの最期の……。俺に対する想いだった?
ーー何故、気付かなかったんだろう。
不器用なリディアが、俺に見せていた本当の姿に……。
時折見せた壊れそうな女の表情。
身体を重ねた夜、俺を見つめて求めてくれた眼差し。
リディアの愛を、見なかったのは……俺。
愛してもらえないと決め付けていた、弱い俺。
自分自身を信じられず。自信のない俺が、大切なものを見過ごしていた。
勇気を出して、言葉にしていたら……。
もっと自分から問い掛けて、伝えていたら……。
俺達は、あんなに離れなくてすんだのかな?
「弟子だったお前には、本来引き継ぐ権利が第1位にある。
……だが、今のお前には渡せん」
俯いたままの俺に、マスターが言う。
「一度バッジを捨てたお前に……。リディアの想いを簡単に継がせる訳にはいかん」
マスターはそう言って、俺の左手に何かを握らせるように渡した。
「試験は3日後。金バッジの他6名にも参加資格がある。
誰がリディアの意志を継ぐのか……楽しみだ」
パタンッ……と、扉が閉まって、マスターは部屋を出て行った。
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