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第7章 (2)ヴァロンside
2-5
しおりを挟む「私はアンタを男娼にする為にここまで育てたんじゃないわッ……!!」
「っ……うるせぇよッ!!」
リディアに掴まれていた腕を、俺は思いっきり振り解いた。
「あんた何様だよッ!
育てた?っ……誰も頼んでねぇだろッ?!」
止まらない。
「勝手に連れて来て……。勝手に自分の理想を押し付けて楽しいかっ?」
こんな事を、言いたい訳じゃないのに……。
「あんたは俺の親じゃないッ……!!
いつまでも言いなりになると思うなよッ…!!」
痛くて痛くて……。胸の痛みが、叫び声を上げる。
「っ……やめて下さい!ヴァロンッ!!」
ガッと背後から抱き締めるように……。シュウが、俺を止めた。
シーンとなる周囲。
俺の左手が……。リディアの胸倉を掴む寸前で、止まっていた。
目の前のリディアは、悲しそうな瞳で……。俺を見ていた。
ズキッと痛む、胸。
でも、もう……。後には、引けなかった。
「……シュウ、俺の貯金からリディアに10億渡してくれ」
俺はリディアに伸ばしていた手を降ろして、ゆっくりシュウから離れた。
「俺の購入に5億。今まで育ててもらった養育費に5億、合計10億。
文句ないだろリディア。これで、あんたと俺は……もう何の関係もなしだ」
「ヴァロン!何言ってるんですか!?」
俺の言葉にシュウは驚いて、首を横に振りながら正面に立った。
その表情は、今にも泣き出しそうで……。俺よりも、悲しそうだった。
……でも。
俺はもう、耐えられなかった。
期待して、叶わなかった望みを……。もう一度信じる勇気が、俺にはなかった。
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