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第5章 (2)ヴァロンside
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しおりを挟む大切にしたかった。
愛しているから、大切にしなきゃと思った。
アカリが嫌がる事や不安がる事はしない。笑顔でいてほしいから、怖がらせたり困らせたりしたくない。
もう、無理矢理……。私欲だけで身体を繋げないと、誓ったのに……。
「っ……ごめッ。
暫く俺に、近づかないで……ッ」
これ以上、アカリの瞳を見ていられなかった。その場から逃げ出すように彼女に背を向けると……。
「っ……待ってッ。
待って……!ヴァロンッ……!!」
俺の背中に抱き付いて、アカリが必死に語り掛けてくれた。
「っ……嫌じゃないッ。私、全然……嫌じゃ、ないよ?」
……。
でも、この時の俺には……。アカリの言葉が俺を慰めてるようにしか、聞こえなかった。
「……嬉しかった。もっと触れてよっ……ヴァロン!」
背中に感じるアカリの温もりも、冷めた俺には……。届かない。
俺は、見付けてしまったから……。
「……」
ゆっくり振り返る俺を、アカリが見上げていたけど……。俺の目に映っているのは、雑誌。
ソファーの上にある『ドリーム・キャッチ』。
動揺していた心が、今度は自分でも驚く位に冷静になっていった。
「!……ぁ……っ」
俺の視線の先を見て、アカリが小さく反応した。
あんなに止めてって……。買わないでって、言ったのに……。
「……。見たんだ?」
俺はアカリから離れて、ソファーの方へ歩いて行った。雑誌を手に取って、パラパラとそれを冷静に眺める。
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