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第4章 (2)アカリside
2-6
しおりを挟む「!?っ……ぁ……」
ヴァロンは我に返ったように、バッと私から離れて立ち上がる。
震えながら怯えたように後退りして後ろに下がると、背後の壁にドンッとぶつかるまで私から遠ざかった。
「っ……ヴァ、ヴァロン?」
乱れた前開きの着衣を片手で合わせながら、私はゆっくり上半身を起こして彼を見つめた。
私と目が合って、ビクッと揺れたヴァロンに近付こうとすると……。
「っ……来んなッ!!」
今まで聞いた事ない、私を威嚇するような彼の大きな叫び声。
また、部屋の中がシーンとなって……。
私はただ、呆然とヴァロンを見つめるしかなかった。
「……っ。ご、めん……。
俺ッ……な、にやって……っ」
私を見てヴァロンは頭を抱えると、首を横に振りながら震える声を絞り出す。
私にはその姿が、泣いているように見えた。
なんで?
なんでそんなに、悲しそうなの……?
「っ……ごめッ。
暫く俺に、近づかないで……ッ」
ヴァロンは目を伏せると、その場から逃げ出すように私に背を向ける。
「っ……待ってッ。
待って……!ヴァロンッ…!!」
このまま離れてはいけない気がして、私は夢中で彼の背中に抱き付いて止めた。
伝えなくては。ちゃんとヴァロンに、私の気持ちを……!
「っ……嫌じゃないッ。私、全然……嫌じゃ、ないよ?」
すごく驚いた。
でも、嫌だとも怖いとも思わなかった。
あんなに強引にされても……。もっとヴァロンに求めてほしいとさえ、思った。
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