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第4章 (2)アカリside
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しおりを挟む記事に書かれていた疑惑。
”……本当の死因は、ヴァロンの起こした下剋上が原因という説がある。
その証拠に夢の配達人のマスターはリディアの死については詳しく語らない。
またヴァロンが隠れ家内でリディアに下剋上を宣言した事は、その場にいた同業者に確認済みである。
そしてリディアが死亡したと言われる6月15日。
その約一ヶ月前にヴァロンは下剋上を実行したと思われ、その日を境にリディアは行方不明に。
ヴァロンも原因不明の休暇で仕事を休んでいた。
……
…………。”
私は、静かに雑誌を閉じた。
なんて言ったらいいのか……。どんな反応をしていいのか、分からない。
俯く私の膝に、「みゃ~っ」と猫リディアが乗って見上げてきた。
「……。違うよね?」
私は猫リディアに問いかけると、ギュッと抱き締める。
こんな記事デタラメだ。きっとヴァロンの事を良く思わない人が、適当にある事ない事を話して書かせたんだ。
私は、ヴァロンを信じる。
こんな雑誌捨てよう。
そう思って立ち上がろうとした時。
「!……みゃ~っ」
「?……リディア?」
猫リディアが何かを感じ取った様に玄関へ駆けて行く。
気になって私も後ろから付いて行くと、カチンッと玄関の鍵が解除されて扉がガチャッと開いた。
「みゃ~っ!」
「!ッ……え?」
元気よく跳び付く猫リディアを、驚いた表情で抱き抱えるのは……ヴァロン。
ヴァロンが、帰ってきた。
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