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第3章 (6)シュウside
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しおりを挟む結婚して……。たくさんの気持ちが葛藤した。
妻が優しければ優しい程。私を愛してくれればくれる程、苦しくて……。
子供を作る為に、ただ無理矢理に繋げた身体。その度に辛くて、申し訳なくて……。
それでも……。妻が私の子供を身籠った時は嬉しかった。
自分の家族を、大切にしようと思った。
「私は貴方と子供と三人で暮らせたら、それ以上はもう何もいりません。
あ、でも。時々……。時々でいいから、ギュッて抱き締めて下さい!」
私には、本当に勿体無い位の妻だ。
私を理解して、息子を産んでくれた。
幸せで、泣いた。
そして……。
私が結婚してから八年が過ぎた。
ヴァロンへの想いは消えないけれど、それでも以前の様に取り乱したりする事が私はなくなっていた。
家へ帰れば家族の事を第一に。職場ではヴァロンの事を第一に、考えた。
そして……。
ヴァロンはアカリさんと結婚した。
アカリさんはとても優しい女性。父親のギルさんに似て、よく微笑った。
まるで鏡に映すようにヴァロンも微笑っていた。
ああ、これでようやく……。私の恋も終わりだと。
もう終わりにしなくては、と……。
以前は独り身のヴァロンの世話を焼いていたが、もうそれはアカリさんの仕事。必要以上に彼に関わるのをやめた。
ヴァロンが幸せなら、良かった。
……なのに。
雨に濡れて、出勤して来たヴァロンは……。私には泣いているように見えた。
リディアに下剋上を仕掛けた、あの日。
ずぶ濡れになって、壊れて帰って来たヴァロンと重なった。
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