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第3章 (3)シュウside
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しおりを挟む「ハイハイ!喧嘩しない!
シュウ、ありがとね。私は気にしてないから大丈夫よ!」
なだめるように言いながら、リディアが私に向かって微笑む。嬉しくて、つい私も笑顔になった。
「でね、お願いがあるんだけど……。ヴァロンの組手の稽古に付き合ってあげてくれない?」
リディアの言葉に驚いた私は「え?」。ヴァロンも嫌そうに「はぁ?」と言った。
「私とじゃ身長差あり過ぎて上手く行かないのよ。
基本は教えてあるから、容赦無しにバンバン打ち込んでやって?」
「え?……は、はい」
こいつと組手の稽古。
嫌だったけど、リディアの頼みなら仕方ない。
「……じゃあまず。約束組手から、やる?」
組手とは、主に二人で相対して行う空手の練習形式の一つ。
決まった手順にしたがって技を掛け合うのが「約束組手」、自由に技を掛け合うのが「自由組手」だ。
「……」
ヴァロンは私の問いかけには答えずに、そのまま正面に立って構えた。
本当に態度が悪い。
けど、リディアの教え方が余程上手かったのか……。私の目の前で構えるヴァロンの姿は、その小さい身体に似合わず隙がない。
「……いくよッ!」
私の掛け声で、ヴァロンとの約束組手が始まった。
その瞬間、分かった。ヴァロンの計り知れない才能が……。
ただリディアの教え方が上手いだけじゃ、数日間でここまで彼が動ける筈がない。
胸が熱くなって、ワクワクした。今まで同世代相手には決して感じなかった興奮。さっきまではただの生意気だと感じた瞳が、鳥肌が立つ位に鋭い眼差しで射抜いてくる。
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