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第2章 (1)アカリside

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ヴァロンがまだ私の召使いの任務だった時、砂浜で言われた言葉が……。今頃思い浮かぶ。


『アカリなら……。突然僕みたいな子が生まれても、たくさん愛してくれるんだろうね』

『ありがとう。
アカリのおかげで、自分が生まれてきた意味がちゃんとあった。って、思えたんだ』


あの時は、もう離れてしまう立場で……。一緒にいられない立場で踏み入っちゃいけないと、詳しくは聞けなかった。

一緒にいられるようになって、ヴァロンと夫婦になって、幸せだから……。彼の笑顔がいつもあったから、忘れていた。


……なんで、忘れてたんだろう。こんなに大事な事。
私は、ヴァロンの奥さんなのに……。
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