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第2章 (1)アカリside

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ダイニングキッチンに戻ると、窓に近付いて薄いレースのカーテンをめくる。
昼食とモニカが来る準備に集中していて、全然気付かなかった。確かに、風はないけど大雨だ。


「こんな日は、夢の配達人も大変ですよね~」

「そうそう。
雨ってなんだかんだ予定が狂うし、仕事やり辛いだろうな~今日は」

荷物を片しながら会話する二人。


「……そうなんだ。ヴァロン、大丈夫かな?」

それを聞いて少しだけ、不安になった。

今朝のヴァロンは、なんだか少しだけ様子が違った。
普段どんなに疲れていても、ヴァロンは自分でかけた目覚ましが鳴る前に必ず起きる。

……それに。
夢、見てたのかな?なんかちょっと、うなされてたような……。

レースのカーテンをキュッと握って、窓の外を見つめる。


「ヴァロン様は問題ないですよ!」

「晴れでも雨でも嵐でも!
いっつも百点満点の配達人ですからね!」

少し沈んだ私を励ますように、二人は元気にそう言ってくれた。


「……ありがとう。そうだよね!」

二人に元気付けられて私は笑顔で頷く。


「よし!急いで昼食用意するから待っててね」

キッチンに戻り手を洗うと、私は作りかけの昼食の仕上げに取り掛かった。
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