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第1章 (3)ヴァロンside

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「今はかなり痩せてるけど。
多分身体能力も高い。いい骨格してるもの。
私の早足に文句言わず付いてきたしね!」

俺の肩をポンポン叩きながら、リディアは微笑んで見つめてきた。


「……。
名前、あるのかしら?聞いてもいい?」

水晶のような瞳に、惹きつけられる。


「……。ヴァロン」

魔法にかかったみたいに……。
俺は素直に、自分の名前を口にした。


「ヴァロン、ね。
いいわ、ピッタリな素敵な名前」

戸惑いも、不安も。
打ち砕かれて、サラサラと砂のように消えていく。


「私達夢の配達人はね。自分の持っているもの全てが人の役に立つの!
長所はもちろん。自分が短所だと思ってるもの、全てがね!」

リディアはあっという間に、俺の全てを夢中にさせた。
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