368 / 379
最終章 (5)夢の言葉は魔法の呪文
5-4
しおりを挟む顔を真っ赤にして声にならない気持ちに口をパクパクしていると、彼はそんな私を見てプッと吹き出す。
「ククッ、おもしれぇ女!
へ、変な顔すんなよっ……。金魚みてぇ!」
「なっ!ひ、ひどいッ……!」
”バロン”の時とは大違いの暴言に、グサッと傷付いた。
意地悪だし、なんかずっとからかわれてるみたい。
彼の言葉も態度も、私が思い描いていた”恋人達”や”付き合う”のイメージと違いすぎて悪い疑問が浮かぶ。
本当に私の事、好き、なのかな?
よく思い返したら「好き」なんて言われてない。
もしかして、私が思ってる気持ちとは違うのかな?
ヴァロンはモテそうだし、女の子に慣れてそうだし……。
私はその内の一人、とか?
色々考えいたら、なんだか不安になって涙が出そうだ。
潤んだ瞳を見られたくなくて俯くと、ヴァロンはパッと私から手を放した。
「わ、悪い……。泣くなよ……っ」
気まずい沈黙。
そのうち彼は、私から目を逸らして海の方を見てしまった。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
2021 宝島社 この文庫がすごい大賞 優秀作品🎊
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
『Goodbye Happiness』
設樂理沙
ライト文芸
2024.1.25 再公開いたします。
2023.6.30 加筆修正版 再公開しました。[初回公開日時2021.04.19]
諸事情で7.20頃再度非公開とします。
幸せだった結婚生活は脆くも崩れ去ってしまった。
過ちを犯した私は、彼女と私、両方と繋がる夫の元を去った。
もう、彼の元には戻らないつもりで・・。
❦イラストはAI生成画像自作になります。
ヤンデレ悪役令嬢の前世は喪女でした。反省して婚約者へのストーキングを止めたら何故か向こうから近寄ってきます。
砂礫レキ
恋愛
伯爵令嬢リコリスは嫌われていると知りながら婚約者であるルシウスに常日頃からしつこく付き纏っていた。
ある日我慢の限界が来たルシウスに突き飛ばされリコリスは後頭部を強打する。
その結果自分の前世が20代後半喪女の乙女ゲーマーだったことと、
この世界が女性向け恋愛ゲーム『花ざかりスクールライフ』に酷似していることに気づく。
顔がほぼ見えない長い髪、血走った赤い目と青紫の唇で婚約者に執着する黒衣の悪役令嬢。
前世の記憶が戻ったことで自らのストーカー行為を反省した彼女は婚約解消と不気味過ぎる外見のイメージチェンジを決心するが……?
『恋しくて! - I miss you. 』
設樂理沙
ライト文芸
信頼していた夫が不倫、妻は苦しみながらも再構築の道を探るが・・。
❧イラストはAI生成画像自作
メモ--2022.11.23~24---☑済み
出来損ないの王妃と成り損ないの悪魔
梅雨の人
恋愛
「なぜ助けを求めないんだ?」
あの時あなたはそう私に問いかけてきた。
「あなたの手を取ったらあなたは幸せになれますか、嬉しいですか?」
私がそう問いかけたらあなたは手を差し伸べくれた。
「お前は充分苦しんだ。もう充分だ。」
私をまっすぐに見てくれるあなた、帰る場所を私に与えてくれたあなたについて行きたい、その時、そう心から思えた。
ささやかな毎日を与えてくれるあなたのおかげでようやく私は笑うことも冗談も言えるようになったのに、それなのに…私を突き放したひとがなぜ今更私に会いに来るのですか…?
出てくる登場人物は皆、不器用ですが一生懸命生きてります(汗)
完璧な空想上(ファンタジーよりの)話を書いてみたくて投稿しております。
宜しければご覧くださいませ。
不愛想な伯爵令嬢は婚約破棄を申し出る
hana
恋愛
不愛想な伯爵令嬢ロゼに縁談が持ち込まれる。
相手は同じ爵位のナイトという青年で、ロゼは彼の婚約者になることを決意する。
しかし彼の幼馴染であるカラフルという女性が現われて……
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる