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最終章 (1)夢の言葉は魔法の呪文
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しおりを挟む「喉がお乾きでしょう?
配慮を怠り、大変失礼致しました」
まるで私が喉が渇いているのを分かっていたような……。
緊張で、こうなる事が分かっていたかのような、神対応。
「なんで?」と、見つめる私に、彼女は目配せするように視線をグラスに移した。
そこにあったのは……。
っ……?
……あ、れ?
ふと気付いた、ローザにつられて目を落とした先。
銀盆に置かれたグラスの下。
小さなメモ用紙が置いてある。
決して上手くない、不細工な猫の絵。
その猫と一緒に「大丈夫!」と手書きの文字。
一瞬で悟る、この神対応が誰の指示なのか。
手書きの文字には、見覚えがあった。
勉強の時に何度も見た。
ピアノの練習の時に、何度も楽譜にアドバイスを書き込んでくれた。
……バロン。
絵、下手くそ……。
こんな時に知った彼の不得意な事。
おかしくて、笑いそうになる。
どんな時も、私に笑顔をくれたバロン。
また、私を勇気付けてくれるんだね。
緊張も、恐怖も、身体の震えも消えて行く。
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