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第9章 (3)最後の想い出
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しおりを挟む「?っ……バロン?
……え?っ……きゃあッ?!」
彼が自分から少しでも遠ざかる姿に、覚悟なんてあっという間に消え失せて……。
思わず「何処にいくの?」って浮かんで、焦って、追いかけようとしてたーー。
バロンを追って身体を向けると、海水を両手ですくった彼にバシャッ!とかけられた。
「えっ?……え、えっ?」
「なんで?」という表情で、バロンを見つめる。
すると彼はニッと意地悪そうに笑って、更に容赦なくバシャバシャ海水をかけてきた。
「!……ちょっ!バ、バロンッ?!」
冷たい、しょっぱい。
感動の展開のハズが、なんでこんな水浸しに?
訳がわからなくて茫然とする私に、ようやく彼が口を開く。
「何らしくない事、言ってんの?
そんな嘘の笑顔で言われても、これ~っぽっちも嬉しくないね!」
バロンはそう言いながら、親指の先と人差し指の先を全く隙間が空いていない状態でくっ付けながら私に見せた。
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