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第9章 (2)最後の想い出
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しおりを挟む「……。
では、私は失礼致しますね」
「いえ、バロン。
貴方にも、一緒に聞いて頂きたいです」
私が勘付いて、彼が気付かない筈はない。
バロンもきっと大切な話だと察したのだろう。
でもローザは、一礼してその場を去ろうとした彼を引き止めた。
……。
私とバロンが廊下から部屋に戻ると、後から続いて入ってきたローザによって扉がバタンッと閉められる。
その音が異様に大きく響いた気がして……。
まるで、外へ続く道を閉ざされたような錯覚に陥っていた。
さっきまでの和やかな雰囲気とは一変して、緊張が張り詰める。
「っ……。
ローザ?何か、あったの?」
なるべく音を立てないように、この空気で渇いた喉を潤そうとゴクッと唾を呑んで、私は微笑んだ。
ーー聞きたくは、ない。
でも。
なんだか辛そうなローザを見ていたら……。ちゃんと聞かなくては、と思った。
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