上 下
243 / 379
第7章 (3)父を求めて-後半-

3-5

しおりを挟む

「アカリさん。
ギルさんは……。君のお父様はね?
いつも自分の家族の自慢をしていたよ。
奥様やアカリさんの事。
それはもう、可愛い可愛いって……。
聞かされるこっちが照れてしまうくらいにね」

「そ、そう……。だったんですね」

少し恥ずかしいような。
でも、幸せな気持ちが止まらなくて、ハンカチを受け取った私は、真っ赤になった顔を隠すようにして涙を拭いた。


会えなくても、一緒にいられた時間は短くても……。確かに私達はちゃんと家族だった。

だって、話を聞いただけで、私は涙が止まらない程お父さんを愛おしい気持ちでいっぱいになったよ。


お父さん、大好き!

心の中で、私は始めて父に大好きと言う事が出来た。

……
…………。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【改編中】悪女と罵られたので退場させていただきます!

つくも茄子
恋愛
ブランシュ・クリスティーネ・ヴァレリー公爵令嬢は婚約者の王太子に訴えられ裁判にかけられる。明らかに冤罪と分かる内容。にも拘わらず「有罪」の判決を受け、国外追放になってしまった。何故、王太子はこのような暴挙にでたのか?王太子の横にいる男爵令嬢は彼の子供を身籠っているらしい。国王とヴァレリー公爵の不在中に起こった出来事は国そのものを暗雲をもたらす。 祖国崩壊。 そして帝国貴族としての始まり。 それは彼女にとって良かったのか悪かったのか。様々な思惑の中をブランシュは生きていく。帝国貴族として、公爵家の跡取りとして。皇太子の後宮入りをしたブランシュだったが、その背景は何やらきな臭い予感が・・・。 11月25日より改編いたします。

君を愛するつもりはないと言われた私は、鬼嫁になることにした

せいめ
恋愛
美しい旦那様は結婚初夜に言いました。 「君を愛するつもりはない」と。 そんな……、私を愛してくださらないの……? 「うっ……!」 ショックを受けた私の頭に入ってきたのは、アラフォー日本人の前世の記憶だった。 ああ……、貧乏で没落寸前の伯爵様だけど、見た目だけはいいこの男に今世の私は騙されたのね。 貴方が私を妻として大切にしてくれないなら、私も好きにやらせてもらいますわ。 旦那様、短い結婚生活になりそうですが、どうぞよろしく! 誤字脱字お許しください。本当にすみません。 ご都合主義です。

怒れるおせっかい奥様

asamurasaki
恋愛
ベレッタ・サウスカールトンは出産時に前世の記憶を思い出した。 可愛い男の子を産んだその瞬間にベレッタは前世の記憶が怒涛のことく甦った。 日本人ので三人の子持ちで孫もいた60代女性だった記憶だ。 そして今までのベレッタの人生も一緒に思い出した。 コローラル子爵家第一女として生まれたけど、実の母はベレッタが4歳の時に急な病で亡くなった。 そして母の喪が明けてすぐに父が愛人とその子を連れて帰ってきた。 それからベレッタは継母と同い年の義妹に虐げられてきた。 父も一緒になって虐げてくるクズ。 そしてベレッタは18歳でこの国の貴族なら通うことが義務付けられてるアカデミーを卒業してすぐに父の持ってきた縁談で結婚して厄介払いされた。 相手はフィンレル・サウスカールトン侯爵22歳。 子爵令嬢か侯爵と結婚なんて…恵まれているはずがない! あのクズが持ってきた縁談だ、資金援助を条件に訳あり侯爵に嫁がされた。 そのベレッタは結婚してからも侯爵家で夫には見向きもされず、使用人には冷遇されている。 白い結婚でなかったのは侯爵がどうしても後継ぎを必要としていたからだ。 良かったのか悪かったのか、初夜のたったの一度でベレッタは妊娠して子を生んだ。 前世60代だった私が転生して19歳の少女になった訳よね? ゲームの世界に転生ってやつかしら?でも私の20代後半の娘は恋愛ゲームやそういう異世界転生とかの小説が好きで私によく話していたけど、私はあまり知らないから娘が話してたことしかわからないから、当然どこの世界なのかわからないのよ。 どうして転生したのが私だったのかしら? でもそんなこと言ってる場合じゃないわ! あの私に無関心な夫とよく似ている息子とはいえ、私がお腹を痛めて生んだ愛しい我が子よ! 子供がいないなら離縁して平民になり生きていってもいいけど、子供がいるなら話は別。 私は自分の息子の為、そして私の為に離縁などしないわ! 無関心夫なんて宛にせず私が息子を立派な侯爵になるようにしてみせるわ! 前世60代女性だった孫にばぁばと言われていたベレッタが立ち上がる! 無関心夫の愛なんて求めてないけど夫にも事情があり夫にはガツンガツン言葉で責めて凹ませますが、夫へのざまあはありません。 他の人たちのざまあはアリ。 ユルユル設定です。 ご了承下さい。

【完結】結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが

Rohdea
恋愛
結婚式の当日、花婿となる人は式には来ませんでした─── 伯爵家の次女のセアラは、結婚式を控えて幸せな気持ちで過ごしていた。 しかし結婚式当日、夫になるはずの婚約者マイルズは式には現れず、 さらに同時にセアラの二歳年上の姉、シビルも行方知れずに。 どうやら、二人は駆け落ちをしたらしい。 そんな婚約者と姉の二人に裏切られ惨めに捨てられたセアラの前に現れたのは、 シビルの婚約者で、冷酷だの薄情だのと聞かされていた侯爵令息ジョエル。 身勝手に消えた姉の代わりとして、 セアラはジョエルと新たに婚約を結ぶことになってしまう。 そして一方、駆け落ちしたというマイルズとシビル。 二人の思惑は───……

その手は離したはずだったのに

MOMO-tank
恋愛
4歳年上の婚約者が幼馴染を好きなのは知っていた。 だから、きっとこの婚約はいつか解消される。そう思っていた。 なのに、そんな日は訪れることなく、私ミラ・スタンリーは学園卒業後にマーク・エヴァンス公爵令息と結婚した。 結婚後は旦那様に優しく大切にされ、子宝にも恵まれた。 いつしか愛されていると勘違いしていた私は、ある日、残酷な現実を突きつけられる。 ※ヒロインが不憫、不遇の状態が続きます。 ※ざまぁはありません。 ※作者の想像上のお話となります。

初恋の終わり ~夢を叶えた彼と、居場所のない私~

あんこ
恋愛
 初恋の彼と結ばれ、幸せを手に入れた筈……だった。  幼い頃から相思相愛で幼馴染のイースとふたりで村から王都に出て来て、一年半。久々に姿を見かけたイースは、傍らにぶら下げた知らない女の腰を寄せながら、冷たい声で私に言った。 「あいつ? 昔、寝たことがある女。それだけ」   私の初めてを全て捧げた彼は、夢を叶えてから変わってしまった。それでも、離れることなんて考えてもみなかった。十五年間紡いで来た関係は、たった一年半の王都暮らしで崩れ去った。  あなたにとって私は、もう何の価値もないの?  叶えた筈の初恋を失い居場所を探す女性と、初恋の彼女と結ばれ夢を叶え全てを手に入れた筈が気付けば全て零れ落ちていた彼の話。

初恋の幼馴染に再会しましたが、嫌われてしまったようなので、恋心を魔法で封印しようと思います【完結】

皇 翼
恋愛
「昔からそうだ。……お前を見ているとイライラする。俺はそんなお前が……嫌いだ」 幼馴染で私の初恋の彼――ゼルク=ディートヘルムから放たれたその言葉。元々彼から好かれているなんていう希望は捨てていたはずなのに、自分は彼の隣に居続けることが出来ないと分かっていた筈なのに、その言葉にこれ以上ない程の衝撃を受けている自分がいることに驚いた。 「な、によ……それ」 声が自然と震えるのが分かる。目頭も火が出そうなくらいに熱くて、今にも泣き出してしまいそうだ。でも絶対に泣きたくなんてない。それは私の意地もあるし、なによりもここで泣いたら、自分が今まで貫いてきたものが崩れてしまいそうで……。だから言ってしまった。 「私だって貴方なんて、――――嫌いよ。大っ嫌い」 ****** 以前この作品を書いていましたが、更新しない内に展開が自分で納得できなくなったため、大幅に内容を変えています。 タイトルの回収までは時間がかかります。

アネンサードの人々

buchi
ファンタジー
アネンサードとは、すでに滅びたと信じられている異能の人種の呼び名。教会は何百年もかけて彼らを追い詰め、彼らが生きた痕跡を抹殺した。そんなものはおとぎ話に過ぎないと。 中世の面影を色濃く残すその時代、国一番の公爵家の御曹司フリースラントは、自分の異能に疑問を持ち、伝説の人々の最期の足跡が残る街、レイビックを目指す旅に出る。 一国の滅びと復興、ヒロイズムと殺戮が混ざるダークファンタジー。主人公が巻き込まれていく運命の答えは最後まで読まないとわからない、起承転結のある物語です。約65万字。185話。男女向けは不明。 第二部では、フリースラントはレイビックで金山を見つけ大富豪になり、レイビック伯爵を名乗ります。

処理中です...