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第6章 (3)父を求めて-前半-

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まさにその時。
一瞬で、私の熱を冷ますような出来事。


「……っ。
……リ……ディア」


ーーーえっ?

私は、静かに呟いたバロンを見た。


彼は、寝てる。
でも、今確かに……名前を、呼んだ。

”リディア”って、知らない、名前。


別荘で一緒に働く使用人の中にも。
今まで別荘を訪れた客人の中にも……。

そんな名前の人は、いない。


ーー誰?
今、貴方が呼んだ人は誰なの?


ドキドキはいつの間にか、ドクンッと嫌な音に変わって……。
冷え切った私の手足は、小刻みに震え出していた。

……
…………。
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