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第4章 (4)バロンVS夢の配達人

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無事に帰れるのだと安心していた矢先ーー。

いつの間にか、倒れていたはずのリーダーが意識を取り戻していた。
バロンの血で濡れたナイフを手に、私達をニヤニヤと見つめている。


「っ……ごめん、アカリ。
油断してた。怪我、ない?」

「わ、私は平気だよッ!
でもっ……。でもッ、バロンがっ……ッ」

「……僕も平気。
ちょっとかすっただけだよ」


……嘘、だ。痛いはずだ。

彼の傷付いた二の腕から溢れる血は、押さえている左手の間から流れ落ち、白いシャツも赤く染めていく。

そんな時でも、彼は背中で守りながら気遣ってくれる。
身体が冷たくなって、情けないくらいにガタガタと震える私に、バロンは顔だけこっちに向けて微笑んでくれた。


ーーえっ?

見た瞬間、ハッと心が鎮まる。

その表情が、私に幼い記憶を思い出させるの。
怪我の痛みを堪えながら、私を安心させようとするその姿が……。

一瞬バロンが、ヴァロンに見えた。
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