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第3章 (1)夏がきて……。
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しおりを挟む「悪い、アカリ。拗ねないで?」
「!っ……ひゃあッ」
床から足が離れ、フワッと身体が浮かび上がる感覚。
俯いていた私を、バロンがひょいっと抱き上げお姫様抱っこしていたのだ。
「っ……」
突然抱き上げられて、しかもバロンの顔がすごく近くて……。
私の心臓はうるさくなる。
驚きですっかり黙り込む私を彼は椅子まで運ぶと、座らせて足を診てくれた。
「……靴擦れしてる。
いっぱい頑張ったんだな」
そっと足に触れる優しい手。
すぐ側の棚にあった救急箱を取り、手当てをしながらバロンが微笑んでくれる。
……ずるい。
バロンは、ずるいよ。
彼のその言葉と行動は、今までの事をあっと言う間に帳消しにしてしまう。
「痛いかも知れないけど……。
もう少し、頑張れますか?お嬢様」
手当てを終わらせると、椅子に座っている私にバロンは手を差し出す。
そんな優しい表情で言われたら、もう怒れない。
私が断れないの、知ってるクセに……。
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