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第7章(3)ツバサside
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しおりを挟む「やっと君の、年相応な表情を見られた気がするな」
「え?」
「確か、まだ18歳なんだろう?真面目なのも良いが、今の表情のがずっと良い。何だかホッとしたよ」
胸がホワッとなる、暖かみのある優しい表情。
俺はヴィンセント様がレノアの父親で良かった、と改めて思った。
数日前。
突然の訪問にも関わらず、初対面の俺の話を聞いてくれた。その際はあくまで"アッシュトゥーナ家の主人"としての顔しか見せてはくれなかった。けど……。
『私は娘には、幸せな結婚をさせてやりたい。家と家、国と国を繋げる道具のように、大切な愛おしい娘を差し出したくはないんです』
大国の王子を相手に娘の為に、この人は…………。
「ーーやはり、言わせて下さい」
礼儀とか、常識とかじゃなくて。俺はこの方にきちんとお礼の言葉を述べたいと思い、胸に片手を当てると、頭を下げた。
「この度は、大事な瞬間を私のような新参者に任せて下さり、本当に、本当にありがとうございました。
そのお心を決して裏切らず、今後も日々の行いに責任を持ち、また精進して参ります」
「うむ」
俺の言葉を受け止めてくれるように、ヴィンセント様は頷きながら返事をしてくれる。
そしてそんな彼に、言いたい事はもう一つ。
「……それから。
これは夢の配達人としてではなく、レノアーノ様を幼き日より知る者として、言わせて下さい」
何よりも、1番嬉しかった感謝の気持ち。
こんな事を俺が言うのはおかしいかも知れないけど、どうしても伝えたかった。
「レノアを、大切にして下さり……。たくさん愛して下さり、本当に、ありがとうございましたっ」
もう一度深く、深く頭を下げて……。顔を上げると、俺は微笑った。
自分の大切な女性がこんなに想われて生きてきたことを知って、それがこれ以上ない位に嬉しくて、何だか俺まで幸せで……。つい、俺は微笑っていたんだ。すると……。
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