片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
149 / 172
第7章(3)ツバサside

3-4

しおりを挟む

けれど、この場をどうしたらいいのか分からずじっとしていると、にっこり微笑ったノゾミさんが俺を引っ張る。

「さ、ではツバサ君。帰りましょうか?」

「!……え、っ?」

「今後の打ち合わせ!するんですわよね?」

「あ、ああ……っ、と」

ノゾミさんの言葉に、俺は迷った。

久々にレノアと会えた。今日を逃せば、今後下克上の日程詰めになる俺がレノアと会える確率はグッと減るだろう。
正直、もう少し彼女と一緒に居たい。 
しかし。ここは早く仕事に戻って、1日でも早くレノアを迎えに来られるように動いた方がいいのだろうか??

二択を迫られて悩む俺。
すると、ハァ……ッ、っと「やれやれ」と言う感じに溜め息を吐いた最高責任者マスターが歩きながら口を開く。

「ノゾミ、ツバサを揶揄からかうのはお止めなさい。
ツバサ、女性に対する接し方、交わし方がすこぶる下手です。そんなんじゃ、この先苦労しますよ?もっと勉強しなさい」

「!っ、え……?!」

まさかの最高責任者マスターからのダメ出しに、ガーン!とショックを受けた。
そんな俺を尻目にノゾミさんはくすくす笑いながら「はぁ~い!」と返事をすると、するりと離れて最高責任者マスターの方へ歩いて行く。

「ではでは。ツバサ君、先程の件はいつでも大丈夫ですので、どうぞレノアちゃんとごゆっくり~!」

そして、ヒラヒラと手を振りながら彼女は最高責任者マスターと一緒に俺達の前から去って行った。


一気に静かになる廊下。
まさか最高責任者マスターに女性の扱い方まで指摘されると思っていなかった。
でもまあ、確かに、以前は子供だった俺も今や18歳。もうこの世界では親の許可なく結婚も出来る年齢だし、今後仕事で色んな場に行けば、当然女性を相手にしなくてはいけない任務もあるかも知れない訳で……。
そう言った対処や仕方について全く無知だし考えていなかったから、もう少し勉強しなくてはと思った。
すると、考え込んでいる俺を見たレノアが、控え目に口を開く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

最弱王子なのに辺境領地の再建任されました!?無気力領主と貧困村を救ったら、いつの間にか国政の中心になってた件について~

そらら
ファンタジー
リエルは、王国の第五王子でありながら、実績も勢力も乏しい存在だった。 王位争いの一環として、彼は辺境の「エルウァイ領地」に配属されることになる。 しかし、そこは獣害や盗賊の被害が相次ぎ、経済も破綻寸前の“外れ領地”だった。 無気力な領主・ルドルフと共に、この荒廃した地を立て直すことになったリエルは、相棒の神聖獣フェンリルと共に領地を視察するが、住民たちの反応は冷たいものだった。 さらに、領地を脅かす巨大な魔物の存在が判明。 「まずは住民の不安を取り除こう」と決意したリエルは、フェンリルと共に作戦を立て、魔物の討伐に乗り出すことを決める。 果たして、リエルはこの絶望的な状況を覆し、王位争いに食い込むことができるのか!? 辺境の村から始まる、領地改革と成り上がりの物語が今、幕を開ける——!

元使用人の公爵様は、不遇の伯爵令嬢を愛してやまない。

碧野葉菜
恋愛
フランチェスカ家の伯爵令嬢、アンジェリカは、両親と妹にいない者として扱われ、地下室の部屋で一人寂しく暮らしていた。 そんな彼女の孤独を癒してくれたのは、使用人のクラウスだけ。 彼がいなくなってからというもの、アンジェリカは生きる気力すら失っていた。 そんなある日、フランチェスカ家が破綻し、借金を返すため、アンジェリカは娼館に売られそうになる。 しかし、突然現れたブリオット公爵家からの使者に、縁談を持ちかけられる。 戸惑いながらブリオット家に連れられたアンジェリカ、そこで再会したのはなんと、幼い頃離れ離れになったクラウスだった――。 8年の時を経て、立派な紳士に成長した彼は、アンジェリカを妻にすると強引に迫ってきて――!? 執着系年下美形公爵×不遇の無自覚美人令嬢の、西洋貴族溺愛ストーリー!

婚約者の恋人

クマ三郎@書籍発売中
恋愛
 王家の血を引くアルヴィア公爵家の娘シルフィーラ。  何不自由ない生活。家族からの溢れる愛に包まれながら、彼女は社交界の華として美しく成長した。  そんな彼女の元に縁談が持ち上がった。相手は北の辺境伯フェリクス・ベルクール。今までシルフィーラを手放したがらなかった家族もこの縁談に賛成をした。  いつかは誰かの元へ嫁がなければならない身。それならば家族の祝福してくれる方の元へ嫁ごう。シルフィーラはやがて訪れるであろう幸せに満ちた日々を想像しながらベルクール辺境伯領へと向かったのだった。  しかしそこで彼女を待っていたのは自分に無関心なフェリクスと、病弱な身体故に静養と称し彼の元に身を寄せる従兄妹のローゼリアだった……

ハイブリッド・ブレイン

青木ぬかり
ミステリー
「人とアリ、命の永さは同じだよ。……たぶん」  14歳女子の死、その理由に迫る物語です。

異世界立志伝

小狐丸
ファンタジー
 ごく普通の独身アラフォーサラリーマンが、目覚めると知らない場所へ来ていた。しかも身体が縮んで子供に戻っている。  さらにその場は、陸の孤島。そこで出逢った親切なアンデッドに鍛えられ、人の居る場所への脱出を目指す。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

処理中です...