片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第6章(5)アカリside

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私の願い通りに、ヴァロンの容姿をそっくりと写し取ったかのような男の子。
けれど、彼の不安が的中してしまい稀血の……。天使の血を、受け継いだ子だった。その上、虹彩異色症オッドアイで容姿に漆黒を持つ子供。

ーーー希血の者は決して漆黒の容姿を受け継がない。
その法則が破られた時、その者は更なる能力を発揮するであろうーーー

口や態度には一切出さなかったけど、産まれてきたツバサを見てきっとヴァロンはたくさんの気持ちを抱えていたに違いない。でも……。

『うっわぁ~可愛い!』
『パパにそっくりだね~!』

産まれた直後に会わせた時はまだ目がしっかりと開いていなくて、数日後に改めてヒナタとヒカルにツバサを会わせた時の事。

『あれ?でもこの子、左右の目の色が違う』
『ホントだ、片方が黒い~』

子供は自分との違いや初めて目にする物に敏感だ。
"家族で力を合わせていけば、きっと大丈夫"。そう思っていたけれど、1番身近な姉弟であるこの子達に受け入れてもらえなかったら……。ツバサは永遠に孤独を背負う事になるだろう。
しかし、それは親である私達が言い聞かせて防ぐものではないと思った。だから、私とヴァロンは暫く信じて見守る事にしたの。すると……。

『カッコ良い~!この子、ジャスパーみたい!』
『ホントだ!ジャスパーだぁ~いいなぁ~!』

二人はそう言うとツバサを取り囲んだまま、楽しそうに盛り上がり始める。
二人の言う"ジャスパー"とは、私が昔二人に読み聞かせをしていた『海賊ジャスパーの冒険』という絵本に出てきた主人公。
二人の言葉を聞いて、私も思い出した。ジャスパーは確かに左右瞳の色が違う虹彩異色症オッドアイだったのだ。
幼い頃に何気なく聞かせていた物語。それがまさか、こんな風にこの場を和ませてくれる事になるなんて……。

『ーーやっぱり、アカリはすごいな。
あんな良い子達に育ててくれて、ありがとうっ』

そう言ってくれたヴァロンは、今まで見てきた中で1番、幸せそうだった。
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