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第6章(2)ツバサside
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しおりを挟む「ど、どっちも良いんじゃね?」
「だよね!あ~選べないなぁ~」
直視出来なくて、そっぽを向いて答える俺の心境は「可愛いのはお前だよ」なんて、今までに浮かんだ事もない、ガラにもない事。
レノアが可愛いのは昔から知ってる。子供の頃からミネア様にそっくりな整った顔立ちで、猫目なのにパッチリとしたアーモンドアイ。色白で、花の香りの香水をいい感じに漂わせて、赤茶色の夕陽のような髪もとても綺麗だ。
でも、今感じてる"可愛い"は見た目だけじゃない。彼女の言葉や仕草、全てにこう、上手く言い表せない小っ恥ずかしいような感情が湧き上がるんだ。
恥ずかしい。傍に居ると落ち着かない。
けど、もっと傍に居たい。本当はもっと笑顔や一つ一つの表情をしっかりと見たい。
なんて矛盾だらけの感情が、忙しく心で暴れてる。
そんな俺の心中を察したのか、ふと視線があった時、店主さんが笑顔で「うんうん」と頷きながら左手の親指を立ててグッと合図してきた。
その行動に、周りから見て自分は今どんな風に映っているんだろう?と余計に恥ずかしくなってきた俺が黙り込んでいると、助け舟を出すかのように店主さんがレノアに話し掛ける。
「いらっしゃいませ。初めましてですね、お嬢さん」
「あ、初めまして!
ついつい見入っちゃいました。ここのアクセサリー、本当に素敵ですね!」
「ありがとうございます。
お嬢さんのような可愛らしい子に身に着けてもらえて、そのブローチも喜んでいると思いますよ」
店主さんにそう言われると、レノアは胸に着けているブローチにそっと手を触れながら恥ずかしそうに微笑んだ。その笑顔がまた……。
ちくしょう、何だよ、その表情~~ッ……!!
本当に、自分の中に何か別のものが乗り移ったのでは?!と思う程に、彼女の全てに胸が弾む。
店主さんが相手をしてくれている間に、ここぞとばかりにレノアの行動やらをついつい見てしまう自分がいた。
すると、今度は彼女の方から店主さんに話題を振る。
「このお店、耳飾りは全部イヤリングなんですね!」
「ええ、そうなんですよ。今時珍しいでしょう?」
耳に穴をあけるという医療技術の進歩がみられる今の世の中、耳飾りは落ちにくいピアスが便利だと主流になった。今ではピアスしか取り扱っていない店もある程で、逆にピアスがなくてイヤリングばかり、というアクセサリーショップはこの店だけかも知れない、という位で珍しい事だった。
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