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第4章(3)ライside
3-2
しおりを挟む尊敬するーー。
そんなたった一言じゃ言い表せないくらい、僕等にとってツバサは特別な存在だった。
……
……でも。
そんなキラキラと輝いていたツバサが変わってしまったのは、祖父ちゃんが亡くなった直後……。いや、夢の配達人を辞めた瞬間からだった。
最愛の人を亡くして、今にも一緒に消えてしまいそうなアカリさんの為に、ツバサは色んなものを諦める。
夢の配達人という仕事。
他の人と繋がるポケ電。
将来の為に貯めていた貯金。
帰宅が遅くなるバイト、……。
仕事を辞めて、アカリさんの傍に。
危ない事は控えて、健康に気を付けて、なるべくアカリさんの目の届く範囲に行動を控えて、心配かけないように……。
夢の配達人として将来有望だったツバサには当時依頼が殺到していて、突然辞めた事で仮契約者や順番待ちをしていた依頼人から責められて多額の賠償金が発生していた。けど、彼はそれを一切誰にも頼らず、自分の貯金で賄ったんだ。
……そして。
ツバサは大人しい、優等生になった。
アカリさんの前で、まるで祖父ちゃんのように振る舞うようになった。
そんな彼の事も僕はすごいと思ったし、今も尊敬してる。
けど、違う。
上手く言えないけど、今のツバサはツバサじゃないって、思うんだ。
ツバサがレノアの誕生日前夜祭に行くって、彼の姉であるヒナタさんから連絡をもらった時は正直驚いたけど、何かが変わるキッカケになるんじゃないか?って、期待もあった。
一緒に遊んでいた幼い頃。ツバサもレノアも、お互いがお互いを好きなんて僕等には言わなかったよ?
でも、周りから見ていてもバレバレだった。
一つのおやつを二人で分け合ったり、いつだったかみんなでキャンプに行った時、夜中に二人で抜け出して朝まで帰って来なかったりさ。
最初出逢った時、気難しかったレノアの手を引いて心を開かせたのもツバサ。
二つの歳の差はあったけど、あの頃から二人の事をお似合いだと思ったし、身分差なんて関係なくて、ツバサはレノアにとってどんな時でも手を差し伸べてる王子様みたいだと思ってた。
それなのに、……。
…………。
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