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第4章(2)ツバサside
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「すっごーーーい!!!」
俺とライがボー然とする中、ランは一人感動と歓喜の声を上げる。
駅前に新しく出来た、人気のケーキバイキングのお店。
白壁に赤い屋根の可愛いらしい外観に合わせて、内装も白や赤やピンクのテーブルや椅子……と言ったいかにも"女子の為の店"という雰囲気が漂っていた。
開店と同時に行ったにも関わらず、休日といった事もあってか店内はほぼ満席。そのほとんどの客が女子で、カップルで来ている人を除いたら男性は俺とライだけだった。
これは、想像していた以上に恥ずかしい。
「じゃ!私、早速色々物色してくるね~♪」
「あ!おい、待てよラン!」
「……。行っちゃったね」
バイキングコーナーに用意された数々のスイーツに一人盛り上がったランは目を輝かせて早々に席を去って行き、ハート型のテーブル席に残された男二人。
「俺の誕生日パーティーとは?」そう、問いただしたくなった。
「……ま、まあ!せっかくだし、僕達もなんか取りに行こうよ?ここ、味の評判もいいんだよ!」
「……そうだな」
このままじっとしているのは余計に恥ずかしい。
そう思った俺はライに促されて席を立つと、バイキングコーナーに向かった。
ランの言っていた通りそこにはスイーツ以外にパスタやサンドイッチ、スープやフライドポテトと言った軽食も置いてあり、甘い物が苦手な俺には非常に助かる。
でも、昨日の今日で正直あまりお腹の空いていなかった俺がバイキング用の大きな皿の上にちょびっとずつ食べられそうな物を乗せていると、ライが心配そうに言った。
「ツバサ、無理してるんじゃない?今日誘って大丈夫だった?」
「平気だよ。テンション低そうに見えたならごめん。
誕生日覚えててくれて……。誘ってくれて嬉しいよ、ありがとう」
明らかに俺を気遣ってくれているライに微笑んでそう答えるが、長い付き合いの彼にはバレバレであろう。
するとライは、持ち前の明るさで俺を盛り上げようとしてくれる。
「ツバサ、あれ見て」と言われてライと同じ方に視線を向けると、その先に居たのは1組のカップルだった。
「すっごーーーい!!!」
俺とライがボー然とする中、ランは一人感動と歓喜の声を上げる。
駅前に新しく出来た、人気のケーキバイキングのお店。
白壁に赤い屋根の可愛いらしい外観に合わせて、内装も白や赤やピンクのテーブルや椅子……と言ったいかにも"女子の為の店"という雰囲気が漂っていた。
開店と同時に行ったにも関わらず、休日といった事もあってか店内はほぼ満席。そのほとんどの客が女子で、カップルで来ている人を除いたら男性は俺とライだけだった。
これは、想像していた以上に恥ずかしい。
「じゃ!私、早速色々物色してくるね~♪」
「あ!おい、待てよラン!」
「……。行っちゃったね」
バイキングコーナーに用意された数々のスイーツに一人盛り上がったランは目を輝かせて早々に席を去って行き、ハート型のテーブル席に残された男二人。
「俺の誕生日パーティーとは?」そう、問いただしたくなった。
「……ま、まあ!せっかくだし、僕達もなんか取りに行こうよ?ここ、味の評判もいいんだよ!」
「……そうだな」
このままじっとしているのは余計に恥ずかしい。
そう思った俺はライに促されて席を立つと、バイキングコーナーに向かった。
ランの言っていた通りそこにはスイーツ以外にパスタやサンドイッチ、スープやフライドポテトと言った軽食も置いてあり、甘い物が苦手な俺には非常に助かる。
でも、昨日の今日で正直あまりお腹の空いていなかった俺がバイキング用の大きな皿の上にちょびっとずつ食べられそうな物を乗せていると、ライが心配そうに言った。
「ツバサ、無理してるんじゃない?今日誘って大丈夫だった?」
「平気だよ。テンション低そうに見えたならごめん。
誕生日覚えててくれて……。誘ってくれて嬉しいよ、ありがとう」
明らかに俺を気遣ってくれているライに微笑んでそう答えるが、長い付き合いの彼にはバレバレであろう。
するとライは、持ち前の明るさで俺を盛り上げようとしてくれる。
「ツバサ、あれ見て」と言われてライと同じ方に視線を向けると、その先に居たのは1組のカップルだった。
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