63 / 172
第4章(1)シオンside
1-4
しおりを挟む「ヒカル様はツバサ様に十分なキッカケをお与えになられました。……あとは、ツバサ様のお心次第だと思います」
今日付き添って様子をずっと見ていたが、ツバサ様にはあと一歩"何か"が足りない気がした。その"何か"があの方の心を縛り、ずっとずっと刻が過ぎるだけで、前に進めずにいる。
もう一度、夢の配達人を目指していた頃の真っ直ぐなお気持ちを取り戻せば、きっと……。
「ーーそうだよね。信じるしか、ないよね」
「ヒカル様?」
「僕は、ツバサを信じてる。きっとあいつなら、どんな形であれ自分の道を見付けられる。
その時に全力でサポートしてあげられるように、僕も頼り甲斐のある兄でいなきゃね!」
ヒカル様は腕時計を左腕にはめると、そう言って微笑った。
信じて見守るーー。
そうだ。きっとヴァロン様がこの場に居ても、そう言っただろう。
『姉弟、みんな仲良く。どんな事があっても信じ合い、助け合える子供達に育ってほしい』
以前そう言っていたヴァロン様の事を思い出し、そのお望み通りに成長しているお姿が嬉しくて、思わず笑みが溢れた。
「そうですね。
ツバサ様ならば、きっと大丈夫です」
このご姉弟はきっと大丈夫ーー。
一緒に居ると心暖まるこの方達には、明るい未来が待っている。
私もそう、信じたいと思うのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる