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第4章(1)シオンside
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しおりを挟むツバサ様。
私はこの方が、産まれた時から知っている。
私の一族は、ツバサ様のお父様であるヴァロン様の家系に代々仕える執事だった。
両親を亡くし、身寄りのなかった私をヴァロン様が引き取って下さり、本当の家族のように接して下さった日々は今も忘れられない。
そればかりか、奥様であるアカリ様の祖父アルバート様の跡を継いだヴァロン様は、私が16歳になると秘書兼執事として雇って下さり、ずっとお側に置いて下さった。
本当に、どんなに感謝しても足りない程に良くして頂いた。
ツバサ様がお産まれになったのは、私が15歳の時。
ヴァロン様とアカリ様。愛し合いながらも様々な事情が重なり一度別れ、再びご一緒になられたお二方。
『ヴァロンにそっくりな男の子がほしい』
以前よりそう強く願っていたアカリ様。
『今度こそずっと傍にいて、産まれてくる瞬間から一緒に子育てしたいんだ!』
これまで夢の配達人という職業柄や、様々な運命に邪魔をされてゆっくりとご家族と過ごす事が出来なかったヴァロン様の願い。
そんなご両親の想いをのせて、ツバサ様は産まれた。
ヴァロン様の血を濃く受け継いだツバサ様は容姿だけではなく、その一族の持つ不思議なお能力も受け継いでしまった事で幼少期から様々な苦労や苦悩を抱えていた。
が、それでもご家族に愛され、たくさんのご友人に囲まれて優しく真っ直ぐに成長されていった。
『ね、しおん!つばさもパパみたいになりたい!』
ある日、ヴァロン様が夢の配達人としてご活躍していた頃の記事を見せてくれながら、ツバサ様は私に言った。
『パパはみんなの夢を叶えてくれる魔法使いみたいで、本当にカッコ良かったのよ?
あ、もちろん、今もカッコ良いけどね~!』
アカリ様がよくヴァロン様の記事や写真を見せながらお子様達に昔の事を話していたので、おそらくそれに影響されたのだろう。
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