片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第3章(4)レベッカside

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ツバサ様。
私がその名前を初めてお聞きしたのは、今から十年前の15歳の時。
私の一族が代々お仕えするアッシュトゥーナ家の主人であるヴィンセント様がご結婚なされ、その奥方様の連れ子で在られるレノアーノ様の専属執事としてご指名された頃だった。

レノアーノ様はお母様で在られるミネア様によく似てお美しく、頭も良く、品があり……。良く言えば大人びていらっしゃったが、同時に10歳と言う年齢にしては冷静すぎて子供らしくない、と私は感じていた。
そんなレノアーノ様の印象がガラッと変わったのは、ある日届いた一つの荷物をお渡しした時。

アッシュトゥーナ家に届く手紙や荷物には検閲けんえつがあり、そこで危険な物や不審な物、差出人が知り合いリストに載っていないものは主人の手に渡る前に省かれる。
そして、差出人ーツバサー。知り合いリストには載っていなかったその人物からのレノアーノ様宛の荷物も、省かれる対象となっていた。
しかし、レノアーノ様のお世話役として以前の家から一緒にアッシュトゥーナ家のやしきに来た"ばあや"の必死の説明で処分は免れて、私の立ち合いを条件に荷物はレノアーノ様の手に渡る事となった。

検閲で確認したところ中身は封も空いていない新品のお菓子だったし、レノアーノ様が召し上がる時に先に毒味をすれば問題もない。手紙の内容もたった一言『俺も頑張る!』、それだけ。
ばあや様の話ではツバサは幼馴染みと聞いたが、あの大人びたレノアーノ様を相手にこんな子供じみた贈り物とたった一言の手紙。
私は最初ツバサという人物を、どんな子供かと疑った。そして、こんな贈り物でレノアーノ様が喜ぶなど到底思えなかった。が……。
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