片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第3章(3)レノアside

3-3

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「ね?いっしょにあそぼうよ!」

「っ……でも、私は家の中で本を読んだりお絵かきする方が好きなの」

「でも、おそとであそんだことないんでしょ?」

「!っ……それ、は……」

"でも"って言ったら"でも"で返されて、そんな事も初めてだった。
初めてだらけでタジタジの私に、ツバサは屈託なく接してきてくれる。

「なら、やってみなきゃわからないよ!
あそんでみたらたのしいかもしれないじゃん!ほんよむより、おえかきより、たのしいかもよ?」

そう言って私を、みんなの輪の中にあっという間に引き込んで行った。

鬼ごっこ、かくれんぼ、影踏み……。遊び方を知らない私の手をツバサはずっと放さないで、一緒にいて、引っ張ってくれた。
縄跳び、ボール遊び、泥遊び……。ツバサは私よりも年下なのに色んな事が出来て、器用で、お手本を見せながら色んな事を教えてくれた。

汗だくになる事も、泥だらけになる事も、水浸しになる事も……。遊んでいる内に、全くに気にならなくなった。
それくらい遊びに夢中にーー……。ううん、私はツバサに夢中になっていくのだった。


いつから好きだったの?
って聞かれたら、分かんないなぁ。
手を繋がれたあの瞬間から?
って思えば、そうなのかも知れない。

そんな、曖昧にも聞こえるかも知れない答え方しか出来ないくらい、自然に、いつの間にか恋をしてた。
絵本の王子様のように綺麗な花や指輪を差し出してくれたりなんてしないけど、「はい、半分こ!」ってツバサが割って差し出してくれるおやつが、今までの何よりも1番美味しく感じたの。

『ずっと、一緒に色んなものを半分こして生きていこう』

私がきっと彼にプロポーズするのならば、その台詞を言うと思う。


子供の時は特に男の子は女の子よりも恋愛事には疎いし、ツバサは二つ下って事もあって私の事を友達の一人としてしか見てなかったと思う。
だから、本当は男性の方から告白してほしいけど、万が一の時は私からしようって企んでたっけ。

ヴァロンさんに連れて行ってもらって、みんなでキャンプした時。
"流れ星に三回お願い事をしたら叶う"って言い伝えをどうしてもやってみたかった私が夜中テントを抜け出して一人夜空を見上げていたら、何故か気付いたツバサが後を付いて来て一緒に流れ星を探してくれた。
でも、人の気も知らないで「見付けたら何を願うの?」、必死になる私を見て「そんなに叶えたい願いがあるんだね」って、まあ無邪気に……。
夜空に向かって叫んでやりたかった。

『ツバサのお嫁さんになりたいです!』って。

もしあの時、流れ星にその願いを三回唱える事が出来たら……叶ったのかな?

それとも、朝日が登るまでずっと一緒に居られたあの頃が……私達にとっての最高の幸せ、だったのかな?

……
…………。
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