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第3章(3)レノアside
3-1
しおりを挟むツバサ。
二つ年下の、私の王子様。
初めて会ったのは私が7歳、ツバサが5歳の時だった。
左の目に眼帯をした彼の第一印象は、王子様って言うより「海賊?」って感じだったな。だってほら、絵本に出てくる海賊ってよく眼帯してるでしょ?だから。
私達が知り合うキッカケにになったのは、私のお母さんとツバサのお父さんの仲が良かったから。
ツバサのお父さんのヴァロンさんは、白金色の髪と瞳。綺麗で、背も高くて、子供の私から見てもすごく格好良く映った。
お母さんもきっとヴァロンさんが大好きだったし、私には父親がいなかったから"彼が自分のお父さんになってくれたらいいのに"、ってずっと思っていたわ。
会う度に美味しいお菓子や可愛いおもちゃ、色んなお土産をくれたしね。
当時の私は母があまり自宅にいなかったのと、一人っ子で使用人や家庭教師達としか生活していなかったらとても我がままで……。手を焼いた母がヴァロンさんに相談して、その結果"子供同士で遊ばせてみよう"となったらしい。これが、ツバサ達との出逢い。
それまでの私の遊びといったら、読書、おえかき、人形遊び、と言った室内にこもってやる遊びばかりだった。
だから、ある日突然ヴァロンさんの自宅がある港街に連れていかれて、「この広場でみんなと遊びなさい」って言われた時は嫌で嫌でしょうがなかったなぁ。
駆け回って、疲れて汗をかくなんて嫌。砂遊び、泥遊びなんて汚れてしまうから嫌。
何が楽しいのか全然分からなくて、私は頑なに拒否して、広場の隅にあるベンチから動かなかった。
その結果最初は「一緒に遊ぼうよ~」って言い続けてくれたみんなも、私のあまりの頑固さに「じゃあ、遊びたくなったらきてね」って言って、先に遊び始めてしまった。
今思うと、私は本当に可愛くない子供だった。
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