片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第3章(1)ツバサside

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前夜祭の会場になるのは、俺達の国で1番とも言える高級ホテルの宴会会場。
ここはレノアの母親であるミネア様の父親が元々経営していたホテルの一つで、ミネア様が国で1、2を争う名家の主人と婚姻した事でその勢力は更に増した。

外観は白を基調としたシンプルだが美しい30階建ての高層ホテル。
夏の今は夕方でも明るいからあまり目立たないが、暗くなるとライトアップされてその美しさは更に増す。
敷地内には緑が溢れ、四季折々の花も楽しめる。その中にはチャペルも設置させている事から、結婚式場として使用する人も多いとか。
もちろん、サービスに料理も文句なし。ホテル内には和洋中それぞれが味わえる高級レストラン、プール、SAPスパ……。また女性に嬉しいアメニティも充実しており部屋に備え付けてあるグッズはどれも高級品。
名の知れた富豪達が使用する為に予約しようとしても、数ヶ月、人気部屋によっては1年待ちは当たり前の大人気ホテル。

これで前夜祭の会場、なんだからほんっと驚く。
しかし。明日の誕生日当日は、レノアの父親であるヴィンセント様が持つ別荘だと聞いた。
レノアとヴィンセント様に血の繋がりはないが、その溺愛ぶりはかなりのものらしい。
明日の誕生日パーティーにはこの国だけではなく、異国の大手企業の社長や王族が招かれている事だろう。今日の前夜祭なんて、比べ物にならない程の……。


「ツバサ様、参りましょう」

「……ああ」

煌びやかな場所に、すれ違う人々の上品な雰囲気。
シオンに促されてホテル内に入り、受け付けを済ませて会場に入るまでに嫌と言うほどに思い知らされる。
これが今の俺とレノアの距離。

ひと目幸せそうな姿を見られればいい?
なんて愚かな考えだったんだ。彼女はただの学生の俺がそんな風に思っていい存在じゃない。
もう、あの日俺と約束を交わした少女レノアはいない。
今から俺が目にするのは、世界中から女神と讃えられているレノアーノ様だ。
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