片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第1章(2)ツバサside

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ここは港街にある学校。
"差別のない街"の学校と言うだけあって、ここには住民であれば簡単に入学する事が出来る。
敷地内には小学部、中等部、高等部、大学部と4つの校舎に分かれていて、俺は今16歳~18歳が通う高等部だ。

ここははっきり言って学力も運動も、レベルはそこまで高くない。
元々この街には学校というものがなかったらしく、昔の子供達はわざわざ電車や船を使って隣の街や島に行っていて通学が不便だったとか。だから、それが理由で数十年前に作られただけの事。
生きていく上や就職するにあたっての最低限度の教養は受けられるが、特定の資格を取ったり、特別な職種に就きたいと考えている人間は例え通学が不便でも外へ出て行く。
故に、この学校は4つの部全体を合わせても生徒数はそんなにいない。

でも、人数が少ないからと言って団結力が強いとか、みんなと仲良く、とはなかなかいかないものだ。


「なっ?ツバサ、頼む!
今度の試合、助っ人として出てくれよ!」

昼休み。
昼食を食べに食堂へ行こうとした俺を、三人のクラスメイトが呼び止めてきた。


聞いたところによると(と、言うか向こうが勝手に説明してきたんだが)この三人はバスケットボール部で、夏に大きな大会に進める予選があるらしい。
けれど先程も言ったようにこの学校のレベルは低く、部が結成されてから大きな大会どころか、予選すら勝ち抜けた事がない。

「オレ達三年だから、これが最後のチャンスなんだよ!」

「最後の思い出に本選に……。いや、予選を一戦でも多くでもいいんだ!」

「頼む!力貸してくれよ!」

……まいったな。
目の前で三人に頭を下げて下げられて、俺は非常に困った。
どうやら先日の体育の授業でやってしまった事が、彼らに目を付けられてしまったらしい。

俺は学校であまり目立ちたく無かった。
でも、将来の為に勉強だけは手を抜きたくなくて、成績はこれまでずっと学年トップ。
安定した生活の為にそこだけは譲れなかった俺は、運動の方はそれなりに抑えて熟してきた。

だが、先日の授業でのバスケットボールの試合。
今まさに頭を下げているこの三人が少しばかり上手いのを良い事に、クラスメイト達相手に馬鹿にしたプレイをしていたんだ。

そこで、よせば良かったんだがボール奪ってゴール決めちゃったんだよなぁ……。
しかも最後の逆転のゴール決めたのが、時間ギリギリだったからコートの真ん中辺りから投げたやつが入っちゃって……。
今思うと、あれはやり過ぎだった。
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