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第7章(4)ツバサside
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しおりを挟むニュースに速報が流れる二時間程前ーー。
「へいっ、いらっしゃー……。
!……おや、君は確か!久し振りだね」
「お久し振りです」
港街にある小さなアクセサリーショップ『emina』。
去年、レノアの誕生日プレゼントにブローチを買い、またレノアと港街でデートした際に立ち寄ったあの店だ。
店主さんは俺の事を覚えてくれていたようで、相変わらずの愛想の良さでニコニコと微笑みながら話しかけてくれる。
「また来てくれるなんて嬉しいなぁ。
あの後、君とあの時一緒だった女の子の事が世界的に話題になって驚いたよ。
あの時、どこか雰囲気のあるカップルだとは思ったけど、まさか世間を騒がせる大カップルだったとはね!」
店主さんは俺とレノアの立場や状況を知っていた。
まあ、アッシュトゥーナ家とドルゴア国の婚姻問題となれば当然だよな。
けど、俺には気になる事があった。
店主さんがその話題を知っているのならば、どうしても聞きたい事があったんだ。
「それで?今日はどうしたの?
あ!もしかしてまたプレゼント、かな?」
穏やかに微笑む店主さん。
その表情の奥に潜む彼を、今日は見に来た。
俺は店主さんにされた質問に答える。
「はい」
「またうちで選んでくれるなんて嬉しいね。
今度は何にする?イヤリング?ネックレス?それともーー……」
「指輪をお願いします」
その言葉に店主さんは一瞬驚いたが、すぐにニヤリッと察したように笑った。
「それって、もしかして」
「はい。
彼女に贈る結婚指輪を、貴方に作って欲しいんです」
今回、俺がこの店を訪れたのには二つの理由があった。
一つは、レノアに贈る結婚指輪を造ってもらう為。そして、もう一つは……。
「結婚指輪か!そうか、そうか!
って、事は、事は順調に進んでいるんだねっ?安心したよ!
けど、そんな大事な指輪、うちなんかで大丈夫かい?アッシュトゥーナ家のお嬢さんの指に合うかなぁ~」
俺とレノアの事を本当に嬉しそうに聞き、少し涙ぐみながらそう言う店主さん。
そんな彼に、俺は言った。
「貴方がいい。貴方じゃなきゃダメなんです。
"レノアの本当の父親"である貴方に、造ってほしいんです」
「ーー……っ」
俺がそう言うと、店主さんの笑い声が止まった。
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