片翼を君にあげる③

☆リサーナ☆

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第7章(1)ノゾミ&瞬空side

1-1

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【ノゾミside】

二週間後ーー。

「来て、瞬空シュンクウ!ほら、こっちですわ!」

港街の商店街。
下剋上の傷も癒え、いつもの民族衣装ではなく私が見立てた洋服に身を包んだ瞬空シュンクウの手を引いて、初めて一緒に街中を歩いた。
チラッと視線を上げて、横目で様子を伺う。

人混みとか、嫌いそう。
それに、着慣れない服装で落ち着かない様子。
あ~ぁ、いつもより表情が強張っちゃってる。

そんな彼を見て、私は思わずクスクスッと笑ってしまった。
可笑しいからじゃない。

……いや。
ちょっとそんな彼が面白いからでもあるけど、自然と溢れてしまう笑みは、きっと嬉しいからに違いなかった。
こんな風に、普通に……。彼とデート出来る日が来るなんて、想像の中でしかなかったから……、……。

ーーううん。
今日はせっかくの日。
そんな暗い事は、考えないようにしよう!
今までの暗いモヤモヤは、今日で最後なのだから……。

隣の彼の様子に、「仕方ない!今日は私がエスコートしなくちゃ!」って思っていた私。
けど彼は、思っていた以上にやり手だった。

瞬空シュンクウ、まずは何処かで食事でも……ーーっ?!」

動いていた口が驚きのあまりに止まって、言葉が途切れる。
なんと繋いでいた手が、彼の行動によって指と指が絡め合う繋ぎ方に変わったからだ。
驚く私に、彼は相変わらずのぶっきら棒な声で言った。

「この地方では、好いた者同士こうして手を取り合うのであろう?ならば本日は、こうして歩こう」

そっぽを向いて、顔を真正面からは見させてはくれない。
けれど、微かに赤く染まった耳で彼が照れているのが分かった。

初めて見る、彼。
歳上で大人で、いつも冷静な彼。
でも今日は間違いなく、格好良いよりも私の目には可愛く映った。

嬉しい。
愛おしいーー。

そんな気持ちで心がいっぱいになった私は、「はいっ!」と返事をして繋がれた手を握り返す。
すると、そんな私にようやく少しだけ顔をこちらに向けてくれた瞬空シュンクウがまた呟いた。
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