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第6章(3)ツバサside
3-3
しおりを挟む「こちらの準備は整いました。
瞬空、ミライ。そちらの準備はいかがですか?」
その問い掛けに、ミライさん片手を上げて「問題ありません」と答えた。
しかし、一方の瞬空さんは、戦場を囲む壁ギリギリまで歩んで来て最高責任者に近付くと、頭を下げながら言った。
「一つ、最高責任者にお願いがございます」
その言葉に、みんなが瞬空さんに注目した。
最高責任者が「何ですか?」と問い掛けると、瞬空さんがゆっくりと口を開く。
「この勝負、私がミライ殿に勝ったら……。最高責任者に大事なお話がございます。
聞いて、頂けますでしょうか?」
大事な話ーー。
俺には、その大事な話、の深い意味は分からなかった。
けど、瞬空さんがそう言った瞬間、ミライさんがチラッと視線を流して微かに笑った。そして、その視線の先に居たのはノゾミさん。
そのノゾミさんも、今まで見た事がない、驚いたような表情を浮かべていた。
何も知らない俺には、それが何を意味しているのか分からずにいた。
だから、気付けなかった。
大事な親友が、複雑な心境を抱えている事にも……、……。
「……分かりました。いいでしょう」
「ありがとうございます」
最高責任者の言葉を聞いた瞬空さんはお礼を述べるともう一礼して、再び戦場の中央へと戻って行った。
強い想いを、感じるーー。
前回、俺と手を合わせてくれた際よりも、遥かに強い想いで瞬空さんが今回の下剋上に挑んでいる事が分かって……ほんの少し、悔しくなった。
俺では、瞬空さんをここまで本気にさせる事が出来なかった。
それは、俺がまだ瞬空さんやミライさんには遠く及ばないと言う証だから……。
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