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第4章(3)ツバサside
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しおりを挟むそれは、いつもと変わらない……。幼い頃からずっと見てきた笑顔の筈だったのに、ようやく本当に思い出せた気がした。
何度も何度も思い出しながらも、死に際に微笑んだあの表情がずっと邪魔しているかのように忘れられなかった。
けど、今、やっと……。
『頑張れ……!』
もう一度、またランに逢える気がした。
『頑張れ!ツバサ……!!』
俺がこの下剋上に勝ったら、きっと……。
ランは誰よりも喜んで、笑顔を咲かせてくれる。
ならば、俺はーー……。
「……。死にません」
今の俺に出来る事は、たった一つ。
「生きて、この下剋上、必ず……俺が勝ちます!」
溢れそうな涙を瞼の奥に閉じ込めてそう言うと、「フッ」と、先程までとは違う柔らかさを含んだ笑顔をして、ミヅクさんは再び俺から目を逸らして背を向けた。
「さぁ~!なら、早く毒を入れた入れたぁ~!
キミがスタート準備を整えてくれなきゃ、勝負は始まらないよ?」
「っ、はい……!」
ありがとうございますーー。
お礼の言葉を飲み込んで、俺は返事をすると毒の入った小瓶を見つめる。
気持ちを持ち直す事が出来たら、同時に色んなものが視え始める気がした。
今回、ミヅクさんとの下剋上を組んでくれた最高責任者の気持ち。そして、このタイミングで下剋上を引き受けてくれたミヅクさんの想いが……。
今の俺に、命の重さ。
本当の死を身近に感じさせる事で、"死にたい"なんて考えていた俺の甘さと弱さに気付かせてくれたんだ。
その想いに報いる為には、言葉ではなく成果でーー。
俺は決意を固めると、小瓶の蓋をあけて毒を入れる盃を見つめた。
……
…………。
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