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第4章(2)ジャナフside
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しおりを挟むただ、目の前の不思議な子を見つめていると、そこにノゾミさんが足早に階段を降りてやって来る。
そして、二人は会話を始めた。
「何故ここにーー……と言うか、いつ帰還したの?」
「ん?ついさっきだよ~♪
てか、ミライきゅんに呼ばれたから帰ってきたんだけど……。何も聞いてない感じ?」
「え、ええ」
「そうなんだぁ~。
あ、そういや任務完了の報告忘れちゃってたぁ~!ごめんねぇ~」
話し掛けられて、頭を掻きながら嬉しそうに無邪気な口調でそう言うミヅクさん。一方のノゾミさんは、驚いているような、何だか幻を見ているかの表情だった。
そんなノゾミさんの雰囲気や白金バッジであるミライさんの事でさえも「ミライきゅん」と呼ぶミヅクさんに対し、ますます謎が深まるボク。
じっと見つめてしまっていると、ボクを見てミヅクさんはまたフッと微笑った。
「夢の配達人にも、また新しい人が増えたんだねぇ。"オヤジ"も、きっと喜んでるよ♪」
オヤジーー……?
ボクにとって、その「オヤジ」と言う言葉は脳内で「親父」と変換された。
その言葉からミヅクさんのお父さんも夢の配達人だったのかな?とか、色々考えてみるけど、「オヤジ」と、口にしたミヅクさんの表情は少し切なそうで……。ボクは尋ねる事が出来なかった。
すると、ミヅクさんはボクの腰に差してあった矢を一本取り、視線を遥か向こうの的へと移す。
そして、ボクに言った。
「ねぇ?キミ。
キミはもし、自分が殺されそうな窮地に立っても、さっきと同じ矢を放つの?」
「!……え?」
「目の前で大切な人が殺されそうになって、自分がやらなきゃ死んじゃう時も……あのザマ?」
「っ、……」
胸がドキリッと跳ねたのは、その言葉の真剣味がすごかったからなのか……。はたまた、ガラリッと雰囲気が変わり、的に向かって弓矢を構えるミヅクさんの強い眼差しと美しい横顔に圧倒されたからなのか……分からなかった。
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