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第3章(2)レノアside
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しおりを挟む「私は私の立場で、傍に居られる人生を必死で必死で……探してたんだよ?
だから、調査員になろうと思ったの。せめて、仕事で……ツバサの力に、なれたら……って」
口からツバサの名前が出されたと同時に、ランの目から涙が溢れ出し、頬をつたり落ちていた。
その、一途で健気な想いを乗せた涙を見て、私の中に浮かんだのは後悔と、自分への怒り。
「それなのに……また、私の邪魔をするの?
本当のお嫁さんになれるのに、おままごとの中ですら私からツバサを奪って……。今度は、仕事でも……私達の間に入って来ようとするの?」
その切ない問い掛けに、答えられる筈がなかった。
私は、いつだって自分の気持ちでいっぱいいっぱいで……。自分の嬉しいや楽しいしか、考えていなかったんだ。
ツバサと同じ街に住んでいるランが、たまにしか遊びに来られない私に気を遣って遊んでくれていた子供時代の時も。そして……。
ーーいいなぁ、将来三人は一緒にお仕事が出来るのね!
私も何か出来る事見付けて、みんなと一緒に働きたいわーー
さっき私の何気なく言った一言で、ランがこんなにも心を痛めている事にも、気付けなかった。
「……やめてよ。入ってこないで?」
力の抜けた私の手から、ランに着けてあげようと思っていた髪留めが滑り落ちた。
それは、実は……。交換用の物とは別に、ラン個人にクリスマスプレゼントで渡そうと思っていた、自分とお揃いの髪留め。
オレンジ色の、チューリップの髪留めだった。
永遠の友情の願いを込めた、証ーー。
けど。
その願いは、壊れる。
「これ以上、私とツバサの間に入って来ないで……っ」
ランが、履いていた靴の隙間から折り畳みナイフを取り出して……。カチッ、と組み立てるとゆっくり前に一歩踏み出した。
「私の居場所を奪わないでよッ……!!」
ダッ、と速度を上げたランにあっという間に間合いを詰められた私の足元で……。パキンッ、と、オレンジ色のチューリップが砕ける音がした。
……
…………。
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