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第3章(1)ツバサside
1-1
しおりを挟む大切な日に限って、悪い事が起こるーー。
例えば、楽しみにしていた遠足。
その日に向かって頑張って練習していた、運動会。
張り切って準備していた文化祭……。
そう言う、特別な日に限って風邪を引いたりして、体調を壊す事があると言うのはよく聞く話だった。
でも、それがまさか本当に起きるなんてーー……。
……
…………いや。
俺の場合は、同室の相手が、なんだけど。
「うぅ~……ごめんねぇ、ツバサ~……」
夢の配達人の寮である俺の部屋で、「ゴホゴホッ」と苦しそうに咳き込みながら、今にも消えそうな声で涙を浮かべながら謝るのは同室のジャナフ。
俺はベッドで横になっているジャナフの側に行くと、顔の汗をタオルで拭いてやり、額に冷却シートを貼ってやりながら言った。
「いいよ。体調が悪いんだから仕方ない」
「う~、でも……今日はせっかくの日なのに~……」
せっかくの日ーー。
そう、今日は12月24日。レノア宅で行われるクリスマスパーティーに、俺は午前中から行く予定だった。
けど、同室のジャナフが体調を崩した事から出発時間を変更。
この時期はインフルエンザの可能性があるし、その場合、自分にも感染していたら大変だ。そんな状態でクリスマスパーティーへ行けば、レノアやその家族や家の人、ランやライにうつしてしまう可能性もあるからな。
と、言う訳で、今はインフルエンザの検査待ちで待機中。
いつまでかかるか分からないから、一緒にこの港街からレノア宅へ行く予定だったランやライには今朝連絡して、先に向かってもらった。
まあ、俺は天使の血の影響なのか、生まれてこの方インフルエンザにかかった事がないから、おそらく平気だとは思うけど……。
そんな事を考えながら、ジャナフが診察してもらえる順番が来るまで待つ事にした。
今日は医療施設が人手不足で、少々時間がかかるらしい。
「大丈夫だよ。検査して何ともなかったら、遠慮なく行かせてもらうから」
「っ、……うん」
「ほら、少しでも寝てろ。
悪いと思ってるなら、早く良くなってくれよ?」
「……うん。ツバサ、ありがとう」
そう言葉を交わすと、やはり辛いのかジャナフはすぐに寝てしまった。
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