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第19章 (2)ヴァロンside
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…………。
隠れ家を出て、帰路を歩いていると、街中はクリスマス用の装飾で鮮やかだった。
輝くネオンに、賑やかな人々。
リディアに引き取られた当初は、全てが灰色に見えた景色。
白金バッジになってからは……。よそ見する暇も無いくらい飛び回ってた。
今、その変わらない筈の景色が……。
自分の目には違って映る様になるなんて、な。
「……世界って、こんな綺麗だったんだ」
立ち止まって空を見上げると、真っ白い雪がちらちらと降り始める。
些細な事を”美しい”と思える、キラキラと輝く毎日。
Q.もしも、過去に戻れるとしたら、あなたは何がしたいですか?
さっき、アカリとやった商店街のアンケート。
俺が一番悩んだ項目だったけど、その答えはやっぱり変わらないな。
A.俺に会って今を、伝えたい。
お前には、将来優しい奥さんと可愛い子供が家族になってくれて。
大切な人や大好きな人がたくさん出来て、必ず心の底から幸せだって笑える日がくる。
だから、何も心配せず、そのままのお前でいていいよ。って……。
……。
「……さて、早く帰るか。
今夜はアカリ特製煮込みハンバーグだからな」
嫌いだった食事が大好きに変わった。
精神的ストレスから、何を食べても不味く感じたり、味がしなかった子供の頃。
飲食が苦痛で、俺にとってはどんな飲み物も無で…。そのうち水しか飲まなくなった。
「……今なら、美味しく飲めるかな?」
足を進めた先の店で、ノンアルコールのぶどうジュースを見付けて、俺は一本買ってみた。
また味がしなかったら、って……。
ずっと不安だった。
……けど。きっと、大丈夫。
アカリの笑顔が、絶対に美味しくしてくれるって思うんだ。
……
…………。
【夢の言葉と陽だまりの天使-終わり-】
次巻、「夢の言葉と失われた追想」に続く。
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