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第17章 (2)ヴァロンside
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しおりを挟む「……わり、シュウ。
その依頼は、受けらんねぇよ」
シュウが俺にこの依頼を持ってきた、って事は……。間違いなく、指名依頼。
じゃなきゃ、誰よりも俺を分かってるシュウがこの依頼を勧めてくる筈がなかった。
きっと今後の俺の成績にとって有利な依頼なのだろう、と思う。
……でも。
アカリとだって、まだ数回しかしてやれてないデート。なのに、他の女とするなんて……。
「大丈夫ですよ。
今回のこの依頼は、アカリさんに説明済みですから」
「!……え?」
明らかに困った表情を浮かべて躊躇してしまっていた俺に、シュウが言った。
「昨日、私からお話しておきました。
驚いていましたが、依頼人の名前を言ったらすんなり了解してくれましたよ」
「?……アカリが、了解した?」
シュウがそう言うのなら、間違いなく彼女は許可したんだと思う。
けど、アカリがOKする依頼人?
「ま、考えるより依頼人に会って下さい。
絶対にヴァロンも喜ぶ筈ですよ」
「俺が喜ぶ、依頼人?」
半信半疑な俺を促す様に、シュウが少し先に進んだ部屋の扉を開けて手招きする。
導かれる様に、ゆっくり俺が部屋に足を踏み入れると「あ!」と言う可愛い声を上げて、依頼人らしき女の子がソファーから立ち上がった。
その姿に、目を疑う。
俺の目に映ったのは、黒い長髪を左右に分けて三つ編みした……女の子。
「……。ユイ?」
一度会っただけだが、忘れる筈ないその姿。
リディアが遺してくれた、俺のもう一人の娘。
「驚きましたか?実はユイちゃん……」
「ユイッ……!」
驚きは、あっという間に喜びに変わってた。
胸が高鳴って、シュウの言葉を遮って名前を呼ぶと……。俺は駆け寄り、小さい子を高い高いするみたいにユイの両脇に手を入れて持ち上げていた。
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