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第17章 (2)ヴァロンside
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しおりを挟むシュウがあの日。
任務が終わって、俺が部屋を去った後に、アランに言われた事を……。
聞かされた事を、まだ知らなかった。
……
…………。
「……あ、そういやお前。俺になんか話があるんじゃなかったか?」
「……。
いえ、何でもありません」
俺の問い掛けにも、シュウは穏やかに笑顔で首を横に振ってくれた。
全ては俺の笑顔を、幸せを守る為に……。
裏で、必死に動いてくれていた。
「それよりも、今日の依頼人。ヴァロン、会ったら絶対に驚きますよ?」
食事が終わって、依頼人の待つ控え室へ向かう途中の廊下で意味深な事を言うシュウ。
自然に話題を変えられて、俺の興味はすっかりこれからの仕事の事になる。
「?……誰だよ?」
「会ってからのお楽しみです」
口元に立てた人差し指を当てて、秘密を隠す子供みたいに微笑っている。
「?……依頼内容は?」
「デートです」
「……。
……。……は?」
気になって尋ねた俺に返ってきた信じられないシュウの言葉に、思わず呆気に取られて立ち止まった。
こいつ、何言ってんだ?
と、背中を見つめていると……。振り返ったシュウが微笑んで、もう一度言う。
「デートですよ。
今日の依頼人は、ヴァロンとデートしたいそうです」
「……」
あんまりにも爽やかな表情で言われて、言葉を失う。
本気、か?
コイツ、本気で俺に仕事でデートしろって言ってんのか?
若くて若干チャラかった時は”恋人の代わりをしてほしい”とか、確かにそんな依頼を受けた事もある。
でも、ここ10年位は断ってきたし……。シュウだって俺が女関係の依頼は嫌々だって知っている筈だ。
……それに。
………。
俺の頭の中に浮かんだのは、アカリ。
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