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第17章 (1)アカリside
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しおりを挟む「ミライ君、もっと近くに来ても大丈夫よ」
私が手招きすると、ホノカさんにも促されてようやくゆっくりとベビーベッドの傍に来たミライ君。
柵の隙間から覗き込みながら、そっとミライ君が手を伸ばすと……。ヒナタはその指をキュッと握り締め嬉しそうに微笑った。
「っ……可愛い。
よろしくね、ヒナちゃん!」
ヒナタの笑顔につられて、すっかり緊張が解けた様にミライ君は微笑むと、音が鳴るおもちゃで積極的に遊び相手をしてくれる。
その微笑ましい光景を見て笑みをこぼすと、いつの間にか私の隣に来ていたヴァロンが呟く。
「……。
ミライになら、ヒナを嫁にやってもいいかもな」
「えっ?……もうっ、ヴァロンったら。
そんなの、まだ気が早いよ~」
私が呆れながら笑うと、彼は意外と本気な様で真面目に力説を始めた。
「だってさ、変な男が付いたら嫌じゃん。
その点、ミライは真面目そうだし……。
ほら!婿の両親がシュウとホノカさんなら、ヒナも苦労しなくてすむだろ?」
もっともらしい意見だけど、その言葉を聞いたシュウさん達も思わず笑っている。
「ヴァロン、自分の娘があんなに小さい時から結婚相手を決めるなんて……。まるでギルさんですよ?」
「!……あ、確かに……。
もうギルの事、色々と馬鹿に出来ねぇわ」
シュウさんに突っ込まれて、ヴァロンも笑った。和やかな、光景。
……。
でも、その時。
私は一瞬、冷静になってしまった。
幸せ過ぎて、なんだか、怖くて……。
いつか、ヴァロンが……。
お父さんみたいに、突然いなくなってしまう様な……。
「!……ん?アカリ、どした?」
じっと見つめてしまっていた私の顔を覗き込んでそう尋ねるヴァロンに、私はハッとして首を横に振ると微笑んだ。
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