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第16章 (3)ヴァロンside
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しおりを挟む「い、嫌じゃない……けど。
ば、場所が……恥ずかしい、時は?」
「!……。……。はい?」
「……い、今はダメ、だけど……。
よ、夜……なら、いいよ……っ」
顔だけ振り返った俺の瞳に映るのは、恥ずかしがりながらも必死に自分の気持ちを伝えてくれるアカリ。
「ご、ご飯っ!ご飯、作ろうっ?」
俺の服を放して、照れ隠しする様に自分の調理の続きをするアカリ。
ワザとらしく「ここにコレを入れて~」とか、普段料理中あんな事言わないのに……。明らかに動揺してる。
……全く、何でこんなに可愛いかな。
愛おしいとか、溺愛って言葉の意味を教えてくれたのは……。間違いなく彼女だった。
「……アカリ、ありがとね」
「?……ヴァロン?」
突然お礼を言われて首を傾げるアカリを、俺は背中から抱き締めた。
あの時……。
アルバート様からの依頼を受けなかったら、こんなに幸せで満ちた日々はなかった。
そう思うと、怖くなる。
……けど。
あん時、そういやシュウは躊躇なく俺にアカリの花嫁修業の依頼を勧めてきたな。
て、事は……。あれは俺への指名依頼、だったのか?
ギルの父親からの依頼ってのに気を取られて、今まで気にしなかったけど……。
普通に考えたら、シュウが俺に勧めてくる依頼内容ではない筈だ。
つまり。
アルバート様が俺を指名していた、って事か。
あの人が俺とアカリを最終的に結び付けてくれた……。
「ヴァロン、お料理作れないよ」
抱き締めたまま考え込んでいた俺に、アカリがくすくす笑いながら言う。
その様子は満更でもなさそうだが、俺は彼女を解放して微笑む。
「あ、わり……。ちゃっちゃと作るか!」
「うん!」
……。
今までの自分になかった幸せに、完全に目が眩んでいた。
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