101 / 151
第16章 (3)ヴァロンside
3-3
しおりを挟む
【厨房】
ヒナタをローザ殿達に預けて、俺とアカリは二人で料理を作る事にした。
俺が材料の下拵えをしていると、アカリが手を止めてじっと見つめてくる。
「?……どした?」
「あ、ううん!
すごいなぁ、って思って」
俺のする事する事をまじまじと見ながら、何やら小さいノートに書き込んでいる。
勉強熱心というか、料理好きというか……。
その真面目な様子に思わず笑ってしまう。
「別に、俺はプロじゃねぇし。
アカリの方が料理は上手いんだからメモらなくて良くね?」
「……そ、そんな事ないもん。
た、玉子焼き……ヴァロンの方が美味しかった」
むぅ……っと、拗ねた様に呟きながら彼女は再び包丁を手に野菜を切り始めた。
分かりやすくて、素直で、本当に可愛い。
「……アカリ。
これ、ちょっと味見してみて?」
拗ねている機嫌を直したくて、俺はスパゲティーのソース用に味付けして煮たトマトをスプーンですくうと、彼女の口元に差し出した。
「えっ?あ、うん。
!っ……何コレ!すごく美味しい!」
条件反射でぱくっとソースを口にしたアカリは、驚いた直後に満面の笑みをこぼす。
……うん。
やっぱり、彼女には笑顔が一番似合う。
可愛くて、可愛くて仕方ない。
「……俺にも、味見させて?」
「えっ?……ッ」
俺は壁際に立っていたアカリを追いやると、唇を奪っていた。
口内に舌を滑り込ませてじっくり味わい、唇を舐めて間近で見つめる。
「……本当だ。美味いね」
「っ~~……ヴァ、ヴァロンのエッチ」
俺の意地悪な行動に、壁に背中をくっ付けた彼女が、顔を真っ赤にしてまた拗ねてしまう。
「……そんな可愛い顔、絶対他の男の前ですんなよ?」
「っ……ん、ッ……ン」
アカリの姿に堪らなくなって、俺は再び口付けると強引に舌を絡め取りながら、自分の身体を密着させて自由を奪った。
昨夜もあんなに抱いたのに、足りない。
今日は彼女を喜ばせる為に努めようと思ってたのに……。
「……っ、……わりッ」
そのまま身体を弄ろうとした手を何とか思い止まらせて、俺はアカリの両肩を持つとグイッと離して俯いた。
彼女を前にすると、本当に歯止めが効かなくなる。
「い、嫌な時は……殴っていいから……。
殴ってでも、噛み付いてでも抵抗してくれ……。じゃねぇと、俺……抑えらんねぇから」
手で口元を押さえながら、フイッと背を向けて調理に戻ろうとすると……。
アカリが俺の服の袖を引いて止めた。
ヒナタをローザ殿達に預けて、俺とアカリは二人で料理を作る事にした。
俺が材料の下拵えをしていると、アカリが手を止めてじっと見つめてくる。
「?……どした?」
「あ、ううん!
すごいなぁ、って思って」
俺のする事する事をまじまじと見ながら、何やら小さいノートに書き込んでいる。
勉強熱心というか、料理好きというか……。
その真面目な様子に思わず笑ってしまう。
「別に、俺はプロじゃねぇし。
アカリの方が料理は上手いんだからメモらなくて良くね?」
「……そ、そんな事ないもん。
た、玉子焼き……ヴァロンの方が美味しかった」
むぅ……っと、拗ねた様に呟きながら彼女は再び包丁を手に野菜を切り始めた。
分かりやすくて、素直で、本当に可愛い。
「……アカリ。
これ、ちょっと味見してみて?」
拗ねている機嫌を直したくて、俺はスパゲティーのソース用に味付けして煮たトマトをスプーンですくうと、彼女の口元に差し出した。
「えっ?あ、うん。
!っ……何コレ!すごく美味しい!」
条件反射でぱくっとソースを口にしたアカリは、驚いた直後に満面の笑みをこぼす。
……うん。
やっぱり、彼女には笑顔が一番似合う。
可愛くて、可愛くて仕方ない。
「……俺にも、味見させて?」
「えっ?……ッ」
俺は壁際に立っていたアカリを追いやると、唇を奪っていた。
口内に舌を滑り込ませてじっくり味わい、唇を舐めて間近で見つめる。
「……本当だ。美味いね」
「っ~~……ヴァ、ヴァロンのエッチ」
俺の意地悪な行動に、壁に背中をくっ付けた彼女が、顔を真っ赤にしてまた拗ねてしまう。
「……そんな可愛い顔、絶対他の男の前ですんなよ?」
「っ……ん、ッ……ン」
アカリの姿に堪らなくなって、俺は再び口付けると強引に舌を絡め取りながら、自分の身体を密着させて自由を奪った。
昨夜もあんなに抱いたのに、足りない。
今日は彼女を喜ばせる為に努めようと思ってたのに……。
「……っ、……わりッ」
そのまま身体を弄ろうとした手を何とか思い止まらせて、俺はアカリの両肩を持つとグイッと離して俯いた。
彼女を前にすると、本当に歯止めが効かなくなる。
「い、嫌な時は……殴っていいから……。
殴ってでも、噛み付いてでも抵抗してくれ……。じゃねぇと、俺……抑えらんねぇから」
手で口元を押さえながら、フイッと背を向けて調理に戻ろうとすると……。
アカリが俺の服の袖を引いて止めた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】貴方達から離れたら思った以上に幸せです!
なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」
信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。
「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」
妹と両親が、好き勝手に私を責める。
昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
まるで、妹の召使のような半生だった。
ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
彼を愛して、支え続けてきたのに……
「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」
夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
もう、いいです。
「それなら、私が出て行きます」
……
「「「……え?」」」
予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
でも、もう私の考えは変わらない。
撤回はしない、決意は固めた。
私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
だから皆さん、もう関わらないでくださいね。
◇◇◇◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
離縁しましょう。あなたの本当の恋は、その聖女様なのでしょう?
ネコ
恋愛
私は辺境貴族の娘として、武名高い王国騎士団長と婚約していた。
けれど、彼が戦場で救われたという“聖女”が現れたとたん態度は急変。
「彼女こそ真の伴侶だ」と熱を上げ、私の前では居心地悪そうに黙り込む毎日。
ある日、とうとう決定打が来た――「お前と離縁して聖女を護りたい」。
ならば遠慮なく離縁しましょう。私はさっさと判を押し、新しい道へ進む決意を固める。
彼が「やはりお前も必要だ」なんて言い始めても、もう遅いのです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。
アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。
いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。
だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・
「いつわたしが婚約破棄すると言った?」
私に飽きたんじゃなかったんですか!?
……………………………
たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】貴族の矜持
仲村 嘉高
恋愛
「貴族がそんなに偉いんですか!?」
元平民の男爵令嬢が言った。
「えぇ、偉いですわよ」
公爵令嬢が答える。
「そんなところが嫌なんだ!いつでも上から物を言う!地位しか誇るものが無いからだ!」
公爵令嬢の婚約者の侯爵家三男が言う。
「わかりました。では、その地位がどういうものか身をもって知るが良いですわ」
そんなお話。
HOTで最高5位まで行きました。
初めての経験で、テンション上がりまくりました(*≧∀≦*)
ありがとうございます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】あなたにすべて差し上げます
野村にれ
恋愛
コンクラート王国。王宮には国王と、二人の王女がいた。
王太子の第一王女・アウラージュと、第二王女・シュアリー。
しかし、アウラージュはシュアリーに王配になるはずだった婚約者を奪われることになった。
女王になるべくして育てられた第一王女は、今までの努力をあっさりと手放し、
すべてを清算して、いなくなってしまった。
残されたのは国王と、第二王女と婚約者。これからどうするのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
やり直し悪女は転生者のヒロインと敵対する
光子
恋愛
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろう……
断頭台を登る足が震える。こんなところで死にたくないと、心の中で叫んでいる。
「《シルラ》、君は皇妃に相応しくない! その罪を悔い、死で償え!」
私に無情にも死を告げるのは、私の夫である《キッサリナ帝国》の皇帝陛下 《グラレゴン》で、その隣にいるのは、私の代わりに皇妃の座に収まった、《美里(みさと)》と呼ばれる、異世界から来た転生者だった。
「さようならシルラ、また、来世で会えたら会いましょうね。その時には、仲良くしてくれたら嬉しいな!」
純粋無垢な笑顔を浮かべ、私にお別れを告げる美里。
今の人生、後悔しかない。
もしやり直せるなら……今度こそ間違えない! 私は、私を大切に思う人達と、自分の幸せのために生きる! だから、お願いです女神様、私の人生、もう一度やり直させて……! 転生者という、未来が分かる美里に対抗して、抗ってみせるから! 幸せになってみせるから! 大切な人を、今度こそ間違えたりしないから!
私の一度目の人生は幕を閉じ――――
――――次に目を覚ました時には、私は生家の自分の部屋にいた。女神様の気まぐれか、女神様は、私の願いを叶えて下さったのだ。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる